何歳から自分でできる?保育士が教える「お着替え」のコツ徹底解説
お子さまのお着替えについて「幼稚園入園までにできるようになってほしい」等々、願うママパパも多いものです。
嫌がったり、逃げてしまったり。なかなか上達しないと焦る気持ちも生まれますよね。
- お着替えは何歳から自分でできるようになるの?
- どうやって教えたらよいかわからない
- 練習中だけど嫌がる時の対処法が知りたい
このようなお子さまのお着替えの疑問に、保育士が解説します。
着替えができる目安の時期は?
一般的に着替えができる目安は以下の通りです。
- 1歳〜:着替えに興味を持ち始める
- 2歳〜3歳:ひとりで着替えができるようになる
自分でお着替えができるようになる目安の時期は、おおむね2歳〜3歳。といっても個人差がありますし、2歳になったからといって、すぐにお着替えできるわけでもありません。お子様が興味を持ち始めたら、お着替えができるように大人が少しずつサポートしてあげることが大切です。
年齢別:着替えの練習方法
1歳〜:着替えに興味しんしん!
1歳頃から着替えに興味を持ち始めるお子さまが多くなります。たとえばTシャツを脱がしてもらう時にかわいい「バンザイ」をする姿もだんだん見られます。
ズボンを履かせてもらう時も、自分で足を入れようとするなど、着替えさせてもらいながらも自分で何とかしようとし始めるのがこの頃です。
じつはこの成長の変化に気づくことが大事なポイント。この頃から、すべてやってあげるのではなく「サポートする」気持ちでお着替えするのがおすすめです。
まずは、「最後にギューっとズボンを上げる」「いないいないばあ!の声に合わせてTシャツから頭を出す」など、1アクションでできる簡単な動作から楽しく始めるのがよいでしょう。
2歳〜3歳:自分でできた!の達成感
2歳頃になると意欲的に着替えをするようになり、大人に手伝ってもらいながら経験を積んでいきます。これも1歳代の積み重ねがあってこそ。
2歳以降も、引き続きお着替えのサポートをしてあげましょう。
例えば、ズボンは一段高い場所に座った方が履きやすいため、低めの椅子や台を準備してあげるのもひとつの手。「じぶんでできた!」の達成感を感じられるよう、さりげなく手助けしてあげることも大切なサポートです。
2歳〜3歳は焦らずに毎日繰り返しサポートを行い、着替えを習得していく時期。保育園でも、この時期は着替えのサポートを大切にしています。
お子さまが保育園に通っているようでしたら、担任の先生に園での着替えの様子やコツを聞いておくとよいかもしれません。
3歳以降:できる!でも、チェックは必要
3歳を過ぎると着替えに慣れ、時間はかかっても通常の洋服であればほとんど自分でできるようになります。
しかし、前後逆に着てしまう…履いてしまって自分では気づかないことが多いので、最後に大人がチェックする必要があります。
ボタンがついた前開きのトップスも、時間はかかるものの自分で着脱できるようになります。まずはパジャマで練習するのもよいでしょう。
しかし、硬いデニム生地や、ボタンがたくさんついた服などは難しく、大人のサポートが必要です。また、コートなどのアウターを着るのは、お子さまにはハードルが高めの動作。やさしくサポートしてあげましょう。
4歳〜5歳:いよいよ立ったままお着替えできるように
この年齢になるとバランス感覚が身につき、立ったまま片足を上げてズボンを履くことができるようになってきます。前後逆に着てしまっても自分で直せるようにもなります。
コートなどの着脱もほとんど自分でできるようになり、保護者さまは手がかからなくなったと感じるかもしれません。
ファスナーの開け閉めも自分でできますが、慌てている時は噛ませてしまうこともあるので、落ち着いてできるよう声かけしましょう。幼稚園や保育園でも、通常の着替えなら大人のサポートはほとんど必要なくなる年齢です。
保育士が教える、お着換えが上手になるコツ6選
お子さまにとって、お着替えは大人が想像するよりずっと難しい動作です。練習中は、思うようにできず、親も子も途中で苦戦することもあります。
保護者さまにお願いしたいのは、お子さまがお着替えに集中できるような環境作りです。できるところから取り入れてみてはいかがでしょう。
着替えしやすい洋服を準備する
お子さまにとって着替えのしやすい服があります。以下のような服は自分で着替えがしやすい傾向があります。
【○ 自分で着替えがしやすい衣類】
- 上からかぶれるもの
- ズボンは長すぎない七分丈など
- 上下が分かれているもの
- 伸縮性のある素材
- 腰や腕のゴムがキツすぎず、伸びていないもの
- シンプルなデザイン
【△ 着替えが難しい衣類】
- ボタンの前開き
- デニム生地
- ゴムがきついパンツ
- タイトなデザイン
- 丈の長いズボン
- オーバーオールやつなぎ
着替えは遊び感覚で楽しく!
着替えの時間がお子さまにとって「楽しい時間」になれば、積極的に自分で着替える気持ちになってくれます。
- Tシャツから頭を出した時「いないいないばぁ!」と声かけ
- 「トンネルはどこかなー」と言いながら袖やズボンに手足を通す
など、遊びながらお着替えをしてみましょう。ママパパの声かけや歌があるだけで楽しんで着替えしてくれます。
気長に待つ
お子さまが、自分でお着替えするには時間がかかるもの。急かしたりせず、お子さまが焦らずじっくり着替えられるよう、時間に余裕を持つことが大切です。
最初のうちは、急ぎの外出前などでは練習を避けて、眠る前など時間にある程度余裕があるタイミングで行うのが良いでしょう。
集中させてあげましょう
お子さまがお着替えに意欲的だったとしても、集中できる環境でなければ気が散ってしまいます。テレビを消したり、おもちゃを片付けるなど、集中できる環境をそっと作りましょう。
「じぶんでできた!」で笑顔に
着替えはいくつもの工程がありますよ。頭を出す、片腕を出す、もう片方の腕も出す…など、途中で必ず大人のサポートが必要になります。
お子さまの苦戦ポイントはさりげなくサポートしつつ、どこか1箇所でも「自分でできた」部分を作りましょう。サポートは「さりげなく」というのがポイントで、なるべくお子さまに気づかれないよう、サッと手伝うのが大切です。
また、「片腕を通す」「最後にズボンを上げる」など、簡単にできそうなところは、お手伝いをぐっと我慢して見守るのがおすすめ。「自分で手を通せた」「自分でズボンを上げられた」など、お子さまにとって「自分でできた!」は、大きな成功体験になります。
とにかくほめまくる!
何でもそうですが、お子さまはとにかくほめられることが大好きです。「昨日はできなかったところができるようになった」や、小さい成長も見逃さず、その都度褒めてあげるのが近道です。
大人にはちょっとしたことでも、お子さまにとっては大成長!「すごいね」「できたね」「がんばったね」と声をかけてあげてはいかがでしょう。
嫌がるときはどうする?イヤイヤの対処法
嫌がるようになった、わざと逃げて困らせる…など、お子さまが着替えを嫌うことがあります。そんな時は、「着替えそのものを拒否している」「着替え以外に嫌がるわけがある」などのパターンに分けられます。
着替えの気分じゃない・うまくできない
低年齢や、着替えがまだうまくできないお子さまは
- 着替える気分ではない
- 着替えにくい服だから
- 着替えが苦手と感じている
といった気分や気持ちで着替えを嫌がっているかもしれません。
朝起きたばかりで機嫌がよくない、遊びを中断されてしまったときなどは、気持ちが着替えに切り替わりません。こんな時は、無理やり自分でさせようとしても逆効果。Tシャツをかぶせてあげて袖だけ通してもらう、ズボンは最後自分で上げてもらうなど、ママパパがある程度手伝い、簡単な工程だけお子さまにやってもらうのはいかがでしょう。
「自分でやりたいのにうまくできない」時は、お子さまの意欲を大切にして、そばで見守ってあげましょう。お着替えを嫌がりながらも、何とか着替えようとするそぶりがみられたら、なるべく手を貸さず待ってあげるのがおすすめです。
この服はイヤ!
目の前にあるお洋服が、実はお子さまの好みではないかもしれません。好きではない服だから、「お着替えしたくない」と伝えているかもしれません。この場合は、お子さまに服を選んでもらうのがベスト。
チグハグな組み合わせになることも多いですが、そこはお子さまの好みを尊重してあげましょう。
着替え以外に嫌がるわけがある
着替えそのものではなく、それ以外に原因があることがあります。
- 体調が悪い・疲れた
- 遊びたい
- かまってほしい
- イヤイヤ期
- 着替えさせてほしい(甘えたい)
大人でも別の理由で何かを拒んでしまうことがあるかと思います。お子さまも同じです。体調が悪かったり疲れていると、着替えどころではありません。無理せず手伝ってあげましょう。
遊んでいる途中の着替えは、着替えが嫌というよりも「もっと遊びたい!」というのがお子さまの本音ではないでしょうか。「あと10数えたらお着替えしようね」「このブロックをはめたらお着替えしよう」とわかりやすく具体的な声かけをして、スイッチを切り替えるのがおすすめです。
わざと逃げ回ったり、1回着た服を脱いで困らせるようなこともありますよね。たとえば入園前後や、下のお子さまが生まれた後などによく見られるのが「かまってほしい」気持ちによる言動かもしれません。
そんな時は、一旦甘えさせてあげるのがおすすめ。
「ママがやってあげるからおいで」と声をかけ、着替えの時、意識的にスキンシップを図ってみてはいかがでしょうか。まだ慣れていないお子様にとって、お着替えは大変な作業。時には「着替えさせて」「ママやってー」と甘えたい気分の時もあるのだと思います。
着替えの上達には、身体の使い方や体感の安定、指先の発達など、いろいろな個人差があるものです。お友だちと比較したりせず、楽しみながらお着替えサポートをしてあげてください。
横森さや
認可保育園で13年働いていた保育士。ベビーシッター、家事代行経験もあり。2児の母でワーママとして頑張るライター。