産後の便秘がつらい!原因と対処法【保健師監修】

【監修・執筆】保健師:石山亜由美

妊娠中だけではなく、産後にも便秘で悩んでいるママは多いことでしょう。赤ちゃんのお世話で忙しい毎日を過ごしている中で、「最近、気持ち良く排便ができていないかも」と気づくことがあります。

便秘を放置しておくと、お腹が張るなどして、赤ちゃんのお世話も大変になってしまいます。ここでは、便秘になりやすい原因や解消法、授乳中の便秘薬について詳しくご紹介します。

産後に便秘になりやすい理由

産後の女性の身体は、様々な原因が重なって便秘になりやすいと言われています。赤ちゃんのいる生活で忙しく、ママ自身の身体を気にかけられない環境や、疲れやホルモンバランスによる体調の変化、精神的な不安定などの背景があります。

そこで、産後に便秘になりやすい理由について、保健師の視点で解説していきます。

原因1:骨盤底筋のゆるみ

出産によって、骨盤底筋が大きくゆるむことで便秘になりやすいと言われています。骨盤底筋は、子宮や膀胱、直腸などの臓器を支え、排尿や排便をコントロールしている筋肉です。

妊娠中は、大きくなった子宮を骨盤底筋を伸ばして、しっかり支えています。そして産後は、骨盤底筋の力が低下していることで、便を排出する力が弱まってしまうことに繋がるのです。

原因2:水分や食物繊維の不足

便秘は、水分や食物繊維の不足によって起きることが多いでしょう。特に、産後に母乳育児を行っているママは、2~3時間おきに授乳する必要があります。母乳は、ママの身体の血液や水分でできているため、赤ちゃんに毎日授乳を続けていると、ママの身体に必要な水分量が不足します。

また、産後の食事は適当になりがちです。食物繊維を摂ると意識しなければ、バランスの取れた食事は難しいでしょう。

このように、水分や食物繊維を含む食べ物を積極的に摂らないと、腸内の水分量や便を作る食物繊維が不足します。その結果、便が硬くなって排便が苦しくなり、さらに便秘を悪化させることに繋がります。

原因3:会陰切開や帝王切開の傷による不安

出産時に会陰切開をしたママや帝王切開を行ったママは、その傷が不安になり便秘になってしまう方が多いです。会陰切開した傷はしっかりと縫合されているため、産後の検診で問題がない場合は、いきみによって傷が開くという心配はありません。

このような出産による傷は、「排便でいきむと、傷が悪化するのでは」と不安になることもあります。そして、不安から便意を我慢したり十分な腹圧をかけずに排便したりという方は、便秘になりやすくなるでしょう。

原因4:自律神経の乱れ

妊娠中から出産、産後にかけて、女性ホルモンは急激に変化します。特に産後は、プロゲステロンとエストロゲンという2つの女性ホルモンが一気に低下します。

そして、ホルモンバランスの変化により、自律神経が乱れやすくなります。その結果、腸の動きが鈍くなり便秘が起きやすい身体になってしまうのです。また、慣れない育児で睡眠不足や疲れが溜まることで、自律神経の乱れを起こすことも原因です。

このような4つの原因が重なって、苦しい便秘を引き起こすことになるでしょう。

産後便秘の解消法(ストレッチ・水分・食事の工夫など)

産後の便秘は、時間が経つほど自然な排便が難しくなります。便秘が続くことで、お腹が苦しくなりイライラ、肌荒れなどが生じてしまいます。

これ以上、便秘で苦しい思いをしなくても済むように、産後に無理することなく日常生活で行える、便秘の解消法についてご紹介します。

ストレッチや運動で腸の動きを促す

ストレッチや軽い運動をすることで、腸の動きを活発に促せます。産後は、妊娠前の身体に戻るまで激しい運動はできません。自宅でゆっくりと、無理なくできるストレッチや運動を取り入れましょう。

退院前に産院で指導されることが多い産褥体操や、腹部のマッサージ、骨盤底筋体操などがおすすめです。

また、ストレッチや運動はリフレッシュ効果もあるため、ストレスの軽減や自律神経を整える効果も期待できます。心地良いと感じる程度に、毎日少しずつ続けていくと良いでしょう。

便意を我慢しない

赤ちゃん中心の生活や毎日の家事により、ゆっくりと落ち着いた気持ちで排便することができない場合があります。また、便意があってもトイレに行く時間がなく、便意を我慢することになります。

このような状態を繰り返すことで、便がより硬くなったり便意を感じにくくなったりと悪い影響を与えてしまうでしょう。

忙しい毎日でも、便意は我慢しないように工夫しましょう。朝食後にパパがいる時間帯や赤ちゃんがお昼寝している間など、毎日排便の習慣を作ることが大切です。

水分を多めにとる

頻回の母乳や水分を取る時間のない忙しい日々で、体内の水分が少なくなると、便秘が起きやすいとされています。水分摂取は、便秘解消のために必要なことです。特に授乳中のママは、多めに水分を摂取することが大切です。

産後のママは、できるかぎり1日に2,00~2,500mlの水分量を摂るように意識しましょう。ただし、一気に水分を摂ると身体に負担がかかります。起床時や朝食時、授乳前後などのタイミングで、少量ずつ水分を摂取することがおすすめです。

起床時にコップ1杯の冷たい水を飲むことで、腸の運動を促すとも言われています。

食物繊維を含む食べ物をとる

食物繊維は、人間のもつ消化酵素で分解されずに腸に移動する成分です。消化管を刺激して動きを活発にしたり、便の硬さを正常化したりといった作用があります。

特に、不溶性食物繊維は腸を刺激したり便のかさを増したりできるため、スムーズな排便が促されます。

食物繊維を多く含む食べ物は、次のとおりです。

食物繊維を含む食べ物 いんげん豆、ごぼう、しいたけ、ひじき、おから、納豆、ほうれん草など

この他に、ヨーグルトやヤクルトなどの乳酸菌や、魚脂のような良質な脂質を摂ることも便秘解消に効果的です。

ゆっくり休息する

身体の疲れやストレス、自律神経の乱れは腸の動きを鈍らせて、便秘が起きやすくなります。そこで、リラックスできる時間を確保することが大切です。

土日など、周りの家族やサポートしてくれる方に協力をお願いして、ママはゆっくりと身体を休めることが大切です。睡眠不足の場合は、子どもの寝かしつけをパパにお願いしたり、赤ちゃんが寝ている間は一緒に横になったりと、日常生活で時間を作る方法もあります。

ここで紹介した5つの解消法は、日頃の生活で取り入れやすい方法です。ストレッチや水分、食事の摂り方を工夫し、まずは産後の生活習慣を整えていきましょう。

授乳中に便秘薬は飲める?

上記で紹介したストレッチや運動、水分や食物繊維の摂取などを行っても、便秘が解消されない場合は、便秘薬を服用することも解消法の一つです。

とはいえ、授乳中の服薬は心配もあります。産後のママに合った便秘薬なのかを確認するためには、医師に相談をするか、薬局で購入する場合は薬剤師にご相談することをおすすめします。

こんな時は医師に相談を

何日も排便がないことで吐き気や腹痛などが現れている場合は、便秘が慢性化したり便が硬くなり自力排便が困難な状態になったりしている可能性もあります。

また、すっきりとした排便がみられず便に出血を伴うような便秘は、薬の服用では改善が困難なこともあります。このような場合は医療機関を受診し、しっかりと診察をしてもらうことが大切です。

産後のママは、回復途中の身体のままで、赤ちゃんがいる生活に慣れるまでは睡眠不足や疲労感が続いてしまう方は多いです。水分摂取が不足したり、栄養バランスを考えた食事ができなかったりするでしょう。

出産によるホルモンバランスや傷への不安なども含めて、様々な要因が排便コントロールに影響を与えます。

そこで、排便を促す生活習慣を整えて場合によっては便秘薬を服用することで、苦しい便秘を解消していきましょう。

この記事は

【監修・執筆】保健師:石山亜由美

看護師・保健師
Webライターとして働く1児のママ。オンラインで健康相談やメンタルヘルスの相談のお仕事をしながら、医療・健康系の執筆を中心にWebライターとして活動中。

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