保育士が教えるお子さまの「食事時間」のポイント
小さなお子さまとの「食事」は、本来は楽しい時間のはずですが、お子さまが遊び始めてしまったり、なかなか食べてくれなかったりと、ママパパの悩みのタネになることも。そこで今回は、お子さまの食事時間のコツやポイントを保育士の視点でお伝えします。
遊び食べ・食事中の立ち歩きに困った!
「遊び食べ」は成長のひとつ
食材や食器を触ったり眺めたり、時にはスプーンやフォークでお皿やテーブルを叩いたり、なかなか食事がすすまない、いわゆる「遊び食べ」にお悩みの保護者さまは多いようです。きちんと食べないので栄養が心配になったり、いつまでも食事が片付かなくてついイライラなんていうことも。
でも実は、小さなお子さまの「遊び食べ」は、成長のひとつでもあります。食材を手で触ったり、食器をさかさにするなどするのは、“これは何だろう?”と、好奇心でいっぱいの時間かもしれません。頭ごなしに叱ったりせず、いまはなにかを調べたり考えたりしているのね、と思えると少し気持ちに余裕が持てるかもしれません。
また、小さなお子さまは集中できる時間が、大人と比べるとずっと短いものです。離乳食時期のお子さまなら、数分~10分程度が集中して食べられる時間の限界!それ以上の時間になると、遊び食べや立ち歩き、ほかのおもちゃに気を取られるなどの行動をしがちです。
コツ1:食事に集中できる環境づくり
お子さまが食事に集中するのにまず大切なのは、食事の「環境」作りです。遊び食べになりがちな時は、こんなポイントを見直してみてはいかがでしょう。
テーブルの高さを確認しましょう
椅子やテーブルの高さは合っていますか。座った時にお子さまの胸の位置にテーブルがくること、その際ひじがテーブルに無理なく乗せられるように高さを調節しましょう。椅子が大きすぎて背もたれと背中の間に隙間ができてしまう場合は、クッションなどを間に入れてもよいでしょう(※ずり落ちなどがないよう確認を)。
足が踏み台に着いていますか
歩けるようになったお子さまは、椅子に座った状態で足がぶらぶらしていると、踏ん張りがきかず姿勢を保ちにくくなります。足が床や椅子の踏み台に着いているかどうか確認してみてください。
余分なものは片づけましょう
テーブルやその付近に、おもちゃなどの余分なものがある場合は片づけましょう。気を取られてしまい、食事に集中しにくくなってしまいます。テレビや動画も消しましょう。
食器・カトラリーは適しているでしょうか
お子さまの成長に合わせた食器を使うことも大切です。離乳食の後期以降、お子さまが自分でスプーンなどを持つようになったらとくに、カトラリーのサイズや向きが、お子さまが使いやすい形になっているかどうか確認してみましょう。
お皿は、端が平らなプレートよりも、少し丸く立ち上がっているもののほうが食べやすいです。
コツ2:声掛けも効果的!
おいしいね、よくかもうね、ごっくんができたねといった声がけで食事に集中できることがあります。様子を見ながら、お子さまのペースにあわせてお声がけをしてみてください。
コツ3:食事時間を決める
お子さまの食事への集中力はそう長くは続きません。「もっと食べさせたい」という気持ちで長い時間座らせていても、ダラダラ食べになってしまいます。目安としてはお子さまの1回の食事時間の目安は15分〜30分です。
食事の時間をある程度決めて、食べられない時は切り上げてみるのもひとつの手です。
なかなか食べてくれなくて心配!
お子さまがなかなか食べてくれない・食事がすすまないことを心配するママパパも多いと思います。
ほんの少ししか食べず、成長できないのでは?栄養が偏ってしまうのでは?と不安です。
ポピンズシッターのベビーシッターに、食べないお子さまの対応を聞いてみました。
0歳から1歳のお子さま
- 無理やり食べさせない
食事の基本はやはり楽しさ。「美味しいね!」など声をかけながらゆったりした気持ちで食べてもらうのがいちばんです。 - お子さまのペースに合わせる
食べる量やスピードを、お子さまの口の動きなどをみながら調整してみましょう。 - 大きさ・柔らかさを見直す
おかゆが苦手だったお子さまが軟飯にするとたくさん食べることも。また、味付けを変えると食べることもございます。
2歳から3歳のお子さま
- 食材を小さく切る
最初は小さく切り分けたり、小皿に取り分けて少量だけ出す。取り分け分を全部食べられたらおかわり分を追加。食べることへのプレッシャーを減らせます。 - ゲーム要素を取り入れる
色に興味があるお年頃。嫌いな食べ物があった際は、「赤い色のものを食べてみよう!どれかな?」と言いながら食材をお子さまに選んでもらいます。逆に、お子さまに次に食べる食べ物の色を選んでもらうのも良いでしょう。 - 食べられた時は褒めましょう
苦手なものを食べられた時、完食できた時などは、「頑張って食べられたね」「お皿がピカピカになったね」など、褒めてお子さまの食べる意欲をのばしましょう。 - 好きなキャラクターに励ましてもらう
無理強いはせず、「上手に食べてるから、見てくれてるよ」と、期待できる声がけをします。
誤嚥に十分気を付けましょう
一般的に5歳以下のお子さまは気管が細いため物が詰まりやすい傾向があります。また、噛む力や飲み込む力が弱ったり、食事の時に動いてしまうなどの行動によって「誤嚥(ごえん)」が起こることもあります。
食事の時は
- 絶対に目を離さないこと
- 必ず座った状態で食事をすること
を徹底しましょう。
ポイント1:こまめに水分を取る
誤嚥を予防するために、簡単にできて有効なのは、食事中にこまめに水分を取ることです。とくに食事のスタートは詰まりやすいので、水やお茶をひとくち飲むところから始めましょう。
ポイント2:注意したい食材を知っておく
お子さまの月齢・年齢にもよりますが、誤嚥につながる注意したい食材を確認しておきましょう。
【丸ごとは危険!】
- ミニトマト
- ぶどう
- さくらんぼ
- 白玉団子
- うずらの卵
球状の食材は小さく切るなどしてあげるようにしましょう。するっと喉に入ってしまうと窒息の危険が高まります。
また、ぶどうやさくらんぼは、皮が口の中に残りやすいため注意が必要です。
【飲み込みにくい・詰まりやすい!】
- ごはん
- パン
- りんごや梨
- 生のにんじんやきゅうり、スティックのセロリ
- イカやタコ
- こんにゃく(こんにゃくゼリーも含む)
ごはんやパンは、意外と粘り気があり詰まりやすい食材です。こまめに水分を取り、ひとくちにたくさん入れたり、飲み込まないうちに次を口に運ぶことのないよう見守ってください。
また、りんごや梨は生の状態では詰まりやすい食材です。国のガイドラインでは、離乳食完了期(12〜18ヶ月頃)までは加熱して提供することが推奨されています。1歳児が数ミリに刻んだ生のりんごを喉に詰まらせ死亡する事故も発生しているため、十分注意が必要です。
ポイント3:食事中はお子さまの状態を常に確認する
食事中の行動によって誤嚥が起こることもあります。
例えば、眠気がある状態で食事をするのは危険です。食べ物を噛まずに飲み込んでしまうリスクがあります。また、口の中に食べ物が残ったまま眠ってしまい、起きた拍子に勢いよく飲み込んでしまうケースも。
乳幼児の気道は狭いため、細かく刻んだ食材でも詰まってしまう場合があります。お子さまが眠そうな場合は食事を切り上げ、口の中に食べ物が残っていないか確認しましょう。
また、びっくりした際に食材を飲み込んでしまうケースもあります。食事中に大きな音を立てるなど、お子さまがびっくりしてしまう状況を作らないようにしましょう。
お子さまが安全に食事を楽しめるようしっかりと見守ることが大切です。
<参考>こども家庭庁「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」
横森さや
認可保育園で13年働いていた保育士。ベビーシッター、家事代行経験もあり。2児の母でワーママとして頑張るライター。
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