【保健師監修】産後のだるさ・疲れやすさの原因は?すぐできる対策と息抜き方法

【監修・執筆】保健師:石山亜由美

産後は赤ちゃんを中心とした生活になり、ママやパパは24時間育児に追われる毎日を送っています。一生懸命に育児をしていると、ママは自分自身の体調の変化に気付く暇もありません。

もし、「体の疲れがとれない」「だるさが残って、ちゃんと赤ちゃんのお世話ができない」と感じたら、体と心に息抜きが必要なサインかも。

ここでは、産後のだるさや疲れやすさの原因と対策、体と心の息抜きの仕方について保健師の視点でまとめました。ママが少しでも元気に赤ちゃんとの生活が送れますよう、参考になさってください。

産後の疲れやすさ・だるさの原因

ママが産後に疲れやすい・だるさが取れないと感じるのは、日常生活の変化や心身の不安定さが原因です。放っておくと、ママの心身にさまざまな影響を与えてしまうことも。

以下に、7つの原因について詳しくお伝えします。

おむつ交換や授乳で睡眠不足

赤ちゃんは2~3時間おきに起きて泣いて、母乳やミルクを欲しがったりオムツを交換して欲しいと訴えたりします。その都度、ママは夜でも構わず起きて、赤ちゃんのお世話をし、ぐっすりと眠ることができません。慢性的な睡眠不足になり、疲れがとれずに蓄積されていきます。

睡眠中は、成長ホルモンを分泌することで自律神経を整えたり、脳を休めたりと心身を回復させます。睡眠不足は、自律神経が不安定になったり、心身に不調を来す原因になることがあります。

産後特有のホルモンバランスの変化

ママの体は、妊娠中からホルモンバランスが変化し続けており、産後もさまざまな変化が現れます。ホルモンバランスは生理の再開前後で、少しずつ妊娠前の状態に戻ってきますが、個人差があるため不安定な状態がいつ終わるかは見極めにくいところがあります。

ホルモンバランスの変化により自律神経が乱れ、めまいや立ちくらみ、頭痛、吐き気、強いだるさが出ることも。乱れが強い場合は体の不調だけではなく、精神的な揺らぎにつながることもあります。

鉄分の不足などによる貧血

出産時の出血や産後に栄養バランスの整った食事がとりにくいことも多いため、鉄分や葉酸などが不足して貧血を引き起こしてしまうことがあります。睡眠不足やしっかりと休息がとれないこと、授乳が影響することもあります。

産後は多くの産婦さんが貧血になると言われておりますが、軽度は「ちょっと体がスッキリしないかな」といった程度で、自覚症状がありません。貧血が進行すると体のだるさ、立ちくらみ、めまい、ふらつき、動悸などの症状がみられ、育児や日常生活に影響を及ぼしてしまうこともあります。

頻回な授乳

赤ちゃんに母乳を与えている場合、2~3時間おきに授乳を繰り返します。赤ちゃんが母乳を飲んでいる姿を見ると、愛おしくママの癒しの時間になることもしばしばですが、反面でママの体には大きな負担がかかります。

母乳はママの血液からできているため、頻回な授乳はママの体力を消耗させて疲れやすくさせます。それでも赤ちゃんにとって必要なものであり、ママは自分の体を二の次にして授乳を頑張ろうとします。

全身のこり

育児中は同じ姿勢で授乳したり、どんどん重くなる赤ちゃんを抱っこしたりと、体のいろいろな筋肉を使います。赤ちゃんを連れて買い物に出かければ、赤ちゃんを抱っこしながら大きな荷物を持つことにもなるでしょう。

慢性的な全身のこりは血流も悪くなり、胃腸の不調や頭痛、めまいなどの症状につながることも。

パートナーへのイライラ

育児中のママは、赤ちゃんのことや自分の体調、日常生活の変化を感じてストレスを抱えています。睡眠不足や頻回の授乳で疲れているときに、パートナーが協力的でなかったり話を聞いてくれなかったりすると、ついイライラを向けてしまうこともあるでしょう。

育児の疲れとパートナーへのイライラによって、休息してもなかなか疲れが取れないという状態になるママも多いようです。

マタニティブルーズと産後うつ

マタニティブルーズとは、出産直後から数日後に現れる軽い気分の変調のことを指します。気分が変わりやすい、涙もろい、不安になる、不意に気持ちが落ち込むなどの症状があります。これは、正常の変化であり、疲れやすいと感じる原因の一つです。

産後うつは、マタニティブルーズが治まる出産後1~2週間後から数ヶ月の間に発症します。心の疲れが、体のだるさとして現れるこも多くあります。

産後の体が元に戻る期間はどのくらい?

産後のママの体が、元に戻ろうと大きく変化する8週間のことを「産褥期(さんじょくき)」と言います。この時期は、少しずつ時間をかけて子宮の状態やホルモンバランスが整うことになり、生理が再開することで体と心のバランスも次第に安定してきます。

産後の体が元に戻るまでの時間には個人差があり、数ヵ月で元気になる方もいらっしゃいますし、1年以上経ってから出産前と同じ行動ができるようになる場合もあります。

出産は体に大きな変化が起きているため、焦ったり無理することなくしっかりと体を休め、体の回復に努めることが肝心です。

産後の体の疲れを軽減させる方法

疲れやすい産後のママの体は、休息やリラックス、食事に気をつけることで少しずつ体を回復することができます。赤ちゃんのお世話と同じくらい、ママは自分の体を労わることが大切です。ここでは4つの方法を紹介しますので、参考になさってください。

とにかくゆっくり休む・睡眠をとる

疲れの原因は、睡眠不足や十分に体を休められないことです。育児中のママがしっかり眠れて、お子さまのことを考えずに休むのは難しいかもしれません。それでも寝不足で無理をしてはいけません。

数時間でも一人の時間を確保できるよう、パパや実家のご両親に赤ちゃんをお願いしたり、難しい場合は行政のサービスやベビーシッターサービスなどを活用してみましょう。定期的に一人になる時間を作り、ゆっくり休んで睡眠をとるようにしてください。

胃腸に優しい食事で栄養を

育児中のママは、自分の食事を後回しにしてしまいがち。しかし、疲れているときこそ、食事からしっかりと栄養をとることが大切です。脂っこいものや刺激が強いものは、胃腸の負担になることも。

ワンプレートで構いませんので、食べやすく、栄養バランスが整った食事ができるように心掛けましょう。産後の疲れやすい体に必要な鉄分や葉酸、カルシウム、ビタミンなどの栄養素が大切です。

ストレッチやマッサージをする

育児中のママは、授乳や抱っこで全身がこり固まっています。自分で簡単なストレッチをしたり、パパに脚や肩、腰をマッサージしてもらったりと、体の血流を促して心地よさを与えてあげましょう。

産後のママにとって、リラックスできる時間は大切です。なるべく自分のための時間も作り、心も体もリフレッシュすることもいいでしょう。

一時預かり保育やベビーシッターの利用

産後のママにとって、少しでも自由にできる「一人時間」はとても大切です。パパや家族の方に協力を得ることもできますが、仕事や都合もあり難しい場合もあるでしょう。

そのような時は、一時預かり保育やベビーシッターサービスを利用してみてはいかがでしょうか。ママの息抜きにもなりますし、お子さまにとっても家族以外の方と過ごす時間はきっとプラスになります。

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産後の心の疲れを癒すために

産後のママは、はじめての育児で体ばかりではなく心にも疲れが出てきます。自分で気づかないうちにもありま頑張りすぎていることも。心が辛いと感じたら、以下のことを試してみましょう。

何事も完璧にしようとしない

育児中のママは、「母親だから完璧にしないと」「家事も手抜きしないで頑張らないと」と思い、家事や育児を一人で頑張ろうとします。完璧を求めてしまうと、もしできなかったときに心が疲弊します。

パパや家族の方に協力をしてもらい、ママの気持ちに少しでも余裕がもてるよう手抜きも必要です。ママもお子さまも笑顔で過ごせているなら、それが一番良いことです。

病院を受診する

産後のママは、マタニティブルーズから産後うつになるリスクがあります。産後うつになると、育児だけではなく日常生活にも影響を与えてしまいます。

ママの心が辛いと感じたら、産婦人科やメンタルクリニックを受診しましょう。我慢せずに早めの受診がおすすめです。

周りの誰かに相談する

育児の大変さや辛さは、パパだけではなく周りの誰かに相談することも必要です。「こんなことくらいで相談なんて」と思う方も多いようですが、困った時やつらい時は早めに相談することが大切。育児中のママを支える窓口には、かかりつけの産婦人科医や助産師、地域の保健センターなどがあります。市区町村の窓口に聞いてみましょう。

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【監修・執筆】保健師:石山亜由美

看護師・保健師
Webライターとして働く1児のママ。オンラインで健康相談やメンタルヘルスの相談のお仕事をしながら、医療・健康系の執筆を中心にWebライターとして活動中。

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