育休復帰はいつ?ベストな復職タイミングと復帰準備
育休とは?
広辞苑によると、「育児休業」「育児休暇」を略した言い方とあります。一般的には、「育児休業」の意味で「育休」を使われることが多いでしょう。「育児休業」について、詳しく解説していきましょう。
「育児休業」について
1歳に満たないお子様を養育する労働者は男女を問わず、希望する期間、お子様を養育するために休業できます。育児休業は1人のお子様に対して1回が原則です。
「育児休暇」について
育児に関する目的で利用できる休暇制度を設けることが会社の努力義務と法律で定められており、こちらは会社の規定に定めがあれば利用できるものです。
育休(育児休業)を取得できるのはどんな人?
正社員だけではなく、契約期間の定めのある労働者(パートやアルバイト等も含む)も、休業取得を申し出た時点で下記の(1)(2)に該当する場合は、男女ともに育児休業を取得することができます。育児・介護休業法に、「事業主は対象となる労働者から育児休業の申し出があった時は、これを拒むことはできない」と定められているため、就業規則に定められていなくても取得できます。
(1)同一の事業主に1年以上雇用されている
(2)1歳6か月以降も契約が満了することが明らかでない(2歳に達するまで取得する場合は2歳)
令和3年6月に育児・介護休業法が改正されました。令和4年4月1日から(1)が撤廃されます。(ただし、会社によっては労使協定によって引き続き(1)に該当しない方を育休取得の対象外とするケースもありますので詳細は勤務先にご確認ください)
*日々雇用される従業員は対象になりません。
法改正で育休が取りやすくなる!?
令和3年6月に育児・介護休業法が改正され、「育児休業」はより取りやすくなります。令和4年4月1日から段階的に施行されますが、何が変わるのでしょうか?
- パート・アルバイトの方は、育休取得に必要な要件から、(1)の「引き続き雇用された期間が1年以上」がなくなります。
有期雇用労働者(たとえばパート・アルバイト、契約社員など)の方は、「引き続き雇用された期間が1年以上」の要件が撤廃され、原則としては「子どもが1歳6ヶ月までの間に契約満了することが明らかになっていない」ことだけが条件となります。つまり無期雇用の方(正社員等)と同等の取得条件になります。 - 産後パパ育休(出生時育児休業)」という制度が創設(2022年10月からスタート)
男性は、お子様の出生後8週間以内に4週間まで産後パパ育休の取得が可能になります。この「産後パパ育休」は今までの育休とは別に取得することが可能で、原則として2週間前までに申し出ると取得できるものです(通常の育休制度は今までと同様に1ヶ月前までに申し出なければなりません)。また、分割して2回取得できるため、仕事の都合に合わせて取得できます。そして、労使協定を結んでいることなど条件はありますが、産後パパ育休中は仕事ができることも大きな特徴です。 - 通常の育児休業が分割して2回取得できる(2022年10月からスタート)
現行制度では育休は原則1人のお子様に対して1回しか取得できませんが、分割して2回まで取得できるようになります。男性は出生後8週間までに2回育休を取得できる制度(産後パパ育休)もあるので、合計で4回取得できるようになります。それにより、より柔軟に夫婦で交代して育休が取れるようになるはずです。
その他、企業側は、本人や配偶者が妊娠・出産したと申し出があった場合、育児休業制度等に関する周知と、休業の取得意向の確認を個別に行うことが義務付けられました。また、従業員が1000人を超える企業は、育休等の取得状況を毎年公表しなければなりません。
(参考)
「働きながらお母さんになるあなたへ」(厚生労働省)
「育児・介護休業法について」(厚生労働省)
育休の期間はどのくらい?
お子様が生まれた日から1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で申し出た期間を取得することができます。例えば、令和3年12月1日生まれの場合は、令和4年11月30日まで取得することができます。女性の場合は、産前・産後休業(産休)*が終了してから育児休業を取得します。
両親共に育休を取得する場合は、「パパママ育休プラス」という制度があります。こちらを利用すれば、お子様が1歳2ヶ月に達するまでの間に、父母それぞれで1年間までの育児休業を取得できます。(出産した母の場合は、出産日とそれ以後の産後休業期間と育児休業期間を合わせて1年です)
会社によっては、法律で定められている以上の制度を設けている場合があるので確認してみるのが良いでしょう。
*産休(産前・産後休業)とは
パートやアルバイト等を含め、働く女性が取得できるものです。産前休業:出産予定日の6週間前(多胎児は14週間前)から取得できる。
産後休業:出産翌日から原則として産後8週間は就業できません。
*なお、出産日は「産前休業」に含まれます。
育休は延長できる?
1歳になっても保育所等に入園できず、一定の要件を満たす場合、お子様が1歳6ヶ月に達するまでは育児休業を延長することができます。1歳6ヶ月時点でも入園できない場合は、2歳になるまで再延長できます。
育休の期間はどれくらい?
企業調査によると、従業員が101人以上の企業において、お子様が1歳になるまで育休を取得したという女性が51.8%でした。お子様が1歳になるまでには職場に復帰している女性が多いようです**。
お子様が1歳超〜1歳6ヶ月未満まで取得したという女性が18.6%、2歳まで取得したという女性が5.5%でした。
早生まれのお子様の育休復帰はどうする?
育休を取得できるのは、基本的にはお子様が1歳に達するまで。なので、早生まれのお子様の場合は、募集人数も多い4月からの入園の申し込みが間に合わなかったり、ちょうど1歳になったタイミングで職場復帰しようとしても、年度途中のため保育園等に空きがない状況になることも。どうしたら良いでしょうか。
育休を延長する
保育所等に入園できなかった場合は、最大で2歳になるまで育休を延長・再延長できます。
ベビーシッターを利用する
翌年4月からの1歳クラスに申し込むまで(東京都の該当市区町村にお住まいの方)東京都ベビーシッター利用支援を利用することができます。東京都が認定した認可外のベビーシッター 事業者を1時間150円で利用できる助成制度です。詳しくはこちら
認可外保育に申し込む
認可外保育園については、こちらで解説しています。
ベビーシッターも無認可保育に分類されます。無認可保育にお子様を預けて職場復帰した実績がある場合は、自治体に認可保育園などを申し込む際に点数が加点されり、優先順位が上がる場合もあるので事前にチェックをしておくと良いでしょう。
育休中の経済的支援は?
雇用保険に加入していて育児休業を取得した場合の経済的支援などはこちらです。休業期間の各種社会保険料なども優遇等を受けることができます。
育児休業給付
雇用保険に加入している人で要件を満たすと、育児休業中に休業開始時の賃金日数✖️支給日数の67%の相当額が支給されます。(休業開始後6ヶ月経過すると50%)
育児休業期間中の社会保険料の免除
会社が年金事務所・健康保険組合(または全国健康保険協会など)に申請をすることにより、育児休業等をしている間の社会保険料が本人負担、会社負担分ともに月単位で免除されます。
育休取得への不安は?
今回、ポピンズシッターではご登録をいただいている皆様に「育休」に関するアンケートを行いました。ご回答いただいた方の中で育休からお仕事に復帰されたという75名のうち、「仕事復帰にあたり不安はありましたか?」という問いに対して70名の方が「はい」と回答しました。
*アンケート概要
「子育てと仕事の両立」に関するアンケート
2021年10月13日~17日。ポピンズシッターご利用者様にインターネットによるアンケートを実施。回答数102。
「どのような不安があるか」という問いに対して回答が多かったものは、「自分の体力」「欠勤や遅刻・早退などが増えて職場に迷惑をかけてしまうのではないか」「子どもに寂しい思いをさせてしまうのではないか」という不安でした。
実際に、ご回答いただいた皆様の声をご紹介いたします。
保育園からの急な呼び出しが「あるかもしれない」というだけで、既に迷惑をかけている感覚。
(0歳と3歳のママ)
派遣社員なので、子供の急な病気で仕事を休事が沢山あったら契約を切られてしまうのではないか?ママでも働ける求人があるのか?
(4歳のママ)
勤務時間が19時半までで、子供の二次保育をどうするか。
(2歳のママ)
お子様の病気で休まなくてはならない場合は?
「子の看護休暇制度」を利用する
子育てをしながら働き続けられるように、育児・介護休業法では「子の看護休暇制度」が定められています。就学前の子どもを育てている従業員は、会社に申し出ることでお子様が1人の場合は1年度に5日まで、2人以上の場合は10日まで1日単位または時間単位で休暇を取ることができます。
育児をしながら働く場合、会社にサポートはある?
働きながら育児をするため、会社で利用できる制度が法律で決められています。
「短時間勤務をしたい」場合
3歳未満のお子様を育てている場合、希望すれば男女ともに所定労働時間を短縮する制度を設けることが会社に義務付けられています(1日6時間以下)。また、仕事の性質上短縮が難しい場合は、フレックスタイム制や時差出勤制度、保育施設の運営やベビーシッターの手配と費用負担などいずれかの対応を行う必要があります。
「残業(所定外労働、時間外労働)を免除・制限してほしい」場合
3歳未満のお子様を育てている従業員は、会社に請求することで事業の正常な運営を妨げる場合を除いて残業(所定外労働)を制限してもらうことができます。また、小学校就学前のお子様を育てている従業員は、会社に請求することで、正常な運営を妨げる場合を除いて1ヶ月に24時間、1年で150時間を超える時間外労働をさせられることはありません。
「深夜に働かない」ようにしたい
小学校就学前のお子様を育てる男女従業員は、会社に請求することで事業の正常な運営を妨げる場合を除いて深夜(午後10時から午前5時)の労働を制限することができます。
男性の育休取得率はどれくらい?
令和2年度「雇用均等基本調査(厚生労働省)」によると、男性の育休取得率は12.65%で過去最高でした。ただし、期間は5日未満の割合が28.33%と3割を占め、短期間での取得が多いようです。
※平成30年10月1日から令和元年9月30日までの1年間に在職中に出産した女性(男性の場合は配偶者が出産した男性)のうち、令和2年 10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。)の割合。(「令和2年度雇用均等基本調査」より)
また、以下の報告書によれば、男性・正社員が育児休業制度を利用しなかった理由としては、「会社で育児休業制度が整備されていなかったから」が23.4%で最も割合が高く、次に多いのが「収入を減らしたくなかったから」という理由で22.6%でした***。
***「平成30年度仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究報告書」(三菱U F Jリサーチ&コンサルティング株式会社)
先輩ママがおすすめする、復職に向けてこれだけはやっておきたいことベスト3!
育休から復帰する前に準備しておきたいことを育休復帰経験者のかたに伺いました****。育休復帰に向けて準備して良かったことベスト3は、
1位「ベビーシッター探し」
2位「病児保育探し」
3位「家事効率化の工夫」となりました。
ベビーシッター利用については、産休・育休中だからこそできる「お試し利用」の事例が多くありました。
****2017年11月30日(木)~12月6日(水)実施。ポピンズシッターお客様の内、育休復帰経験があるお客様90名を対象に育休復帰に向けての準備に関するアンケートを実施
ベビーシッターとの面談も育休中に!
育休経験者の方に伺うと、復帰前に「複数シッターと面談した」「送迎依頼について確認した」との回答が多数ありました。
ベビーシッターは、保育施設までの送迎や習い事の送迎、保育施設や学校の終了後の預かりなど様々なシーンでご活用いただけます。また、保育園に通い初めは、お子様がよく熱を出すと言われています。近くにある病児対応の保育園や、対応してくれるベビーシッターを探しておくのが良いでしょう。
育休復帰前に「やっておけばよかった」と後悔したことは?
反対に育休復帰に向けて準備しておけば良かったと思うことを伺うと、準備して良かったことベスト3同様の結果に。「シッター探し」「病児保育探し」「家事効率化の工夫」の3つが上位となりました。
次いで多くの声が挙がったのは、「夫婦の育児・家事分担の話し合い」でした。
「夫の家事力をあげること」「夫の教育」といった回答があり、復職後の忙しい日々にワンオペ育児に悩む様子がうかがえました。また、次に準備しておけば良かったことに挙げられたのは、「資格取得や復職に向けての勉強」、「体力づくり・自身のメンテナンス」でした。仕事と育児の両立による疲れや家族で体調を崩す苦労経験から、産休・育休中だからこそできる体力づくりをとの声が挙げられました。
病児保育も安心して預けられる仕組み「ポピンズシッター」の病児保育
ポピンズシッターの「病児保育」は、ベビーシッターのスキルを事前に確認できます。看護師やNICU勤務経験者、ベテラン保育士など、お子様が病気の際でも安心して依頼できます。また、ベビーシッターの経験やスキルをプロフィールで確認できます。
病児保育対応ベビーシッターは、ポピンズ監修のオンライン研修を受講し、ポピンズ専属看護師や顧問医がバックアップする体制を整えております。
ご利用料金は、
保育料 + 病児追加料金 + 交通費
まずは無料会員登録!
※保育中の急な体調の変化の際には、保護者さまにご連絡し、対応のご指示をいただく場合がございます。
育休明けの復職不安、こうやって解消しました!
ポピンズシッターではご登録をいただいている皆様に「育休」に関するアンケートを行いました。育休明けに対する不安をどうやって解消したのでしょうか。みなさまの回答をご紹介いたします。
解決方法1:家事の効率化
家事の分担は家事代行など外部に任せられることは任せた。あと食洗機やドラム式洗濯機などの導入で効率化した。
(2歳のママ)
少しでも時間を生み出すためにホットクックを購入、だいぶ楽になりました。
(5歳のママ)
解決方法2:情報を共有する
家族で情報を共有し、ルーティン化する。
(6歳と3歳のママ)
夫と随時相談&Googleカレンダーで予定共有。
(7歳と5歳のママ)
解決方法3:ベビーシッターを活用
残業で遅い時間帯に保育園迎えとなると、子どもが寂しい思いをすることから、シッターを週2回依頼した。子どもも安心して過ごすことができ、夕食入浴も終えてくれるため、自身の帰宅後、子どもとゆっくり向き合うことができる。
(5歳と3歳のママ)
産後1ヶ月から徐々に日常生活に戻し、体力を戻すよう心がけた。2人目は保育園に入らなかったこともありベビーシッターさんに来てもらっているので、成長を近くで感じられているし、子どもにとってもあまり寂しい思いをさせなくて済んでいると思う。
(0歳と4歳のママ)
解決方法4:働きかたを変える
一人で抱える仕事をなくし、必ず複数名で仕事をシェアするように。自分だけではなく、他の人の急病などにも対応できるように。
(5歳のママ)
私が保育園の送り迎えなど仕事と育児両立できるように、会社に相談した。
(2歳のパパ)
結局残業を減らすため転職した。
(5歳のママ)
お子様の体調によって自分の予定がうまく回らなくなることへの不安、仕事が中途半端になってしまうことへの落胆……、育休から復帰した後は、うまくかないことが増えるかもしれません。仕事、育児、家事、すべてをひとりで行うことはとても大変です。ベビーシッター など、頼れるものはぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
【監修】社会保険労務士・河渕ちさと
中小企業の「いい人事」実現サポーター。「いい人事」=「人と職場を育てる」×「効率的な人事業務」+「予防労務」 をサポート。1974年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部社会学専修卒業。
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職場復帰後の数か月は、ワーキングマザーに立ちはだかる最初の高い壁。不安に思っているママも、多いと思い […]ポピンズシッター (旧スマートシッター)【公式】
仕事を定時までやり、必要ならば超過勤務して仕事を完璧にこなし翌日の勤務に備えたいが、こどもの送迎、病気風邪などで、自分も睡眠不足、仕事のプレッシャー、昇進も一旦あきらめたり、とにかくストレスや体力的にも精神的にも辛い。
(3歳のママ)