保育士が教える、後悔しない保育園の選び方
お子さまを保育園に入園させたいと思っても、たくさんある保育園の中から納得のいく保育園を見つけるのは難しいものです。都市部だと保育園の数が多いことに加え、待機児童数の多い地域だと希望する保育園に入れない可能性もあります。
お子さまに合った保育園をいくつかピックアップできるよう、保育園の選び方をまとめました。保育士による保育園の選び方ポイントもお伝えします。
保育園選びのポイント6選
保育園は大切なお子さまが1日の大半を過ごす場所です。保育園はお子さまだけでなく、パパやママにとっても大切な場所でもあります。入園してから後悔しなくてすむように、保育園選びの6つのポイントをお伝えします。
- 送迎しやすい場所にあるか
- 保育時間や延長保育について
- 受け入れ年齢・月齢が合っているか
- 保育方針が合っているか
- アレルギー対策について
- 保育料や諸費用について
具体的に見ていきましょう。
保育園選びのポイント1:保育園の場所
やはりなんといっても、自宅や職場から通いやすい保育園を選ぶことが大切です。
保育園は毎日送迎する場所なので、利便性が悪いところだと通いきれず、途中で転園しなければならない場合もあります。自宅から時間がかかる場所となると、毎朝早く出なければならず、お子さまにも負担がかかってきます。
車で送迎できるか?駅から近いか?自宅や職場からの所要時間はどれくらいか…パパやママの通勤手段によっても変わってきますが、できるだけ自宅と職場の通り道にあると送迎しやすくおすすめです。
保育園選びのポイント2:保育時間
保育時間は保育園によって違いがあります。認可保育園の保育時間は、自治体ごとで決まっていますが、延長保育の時間などは1〜2時間程度の差がでることも。お仕事の状況と送迎の時間を合わせて考え、無理なく日常が遅れる園を選ぶとよいでしょう。
中には保育時間に年齢による違いがある場合もあります。例えば、原則20時まで預かる園でも、「0歳児は18時まで(延長保育を受けつけない)」といったケースもあるので注意が必要です。
保育時間は、勤務時間+通勤時間をカバーできるところを選ぶのが基本です。小さい乳児クラスのうちは、延長保育時間の制限がないかも確認しましょう。
保育園選びのポイント3:受け入れ年齢・月齢
多くの保育園は0歳から就学前までのお子さまを受け入れていますが、中には〇歳以上のお子さましか受け入れないと決まっている園もあります。
0歳児でも、産休明けの2ヶ月から受け入れているところ、6ヶ月以上でないと受け入れていないところなど、園によって受け入れできる月齢が異なる場合があるので注意しましょう。
また、比較的大きな規模の保育園だと、本園と分園で受け入れ年齢が異なることもあります。ここでは、受け入れ年齢の上限をチェックすることも大切です。
最近は待機児童解消のため、小規模保育園も増えました。小規模保育園は10〜19名の定員のため、アットホームな雰囲気もあり人気がありますが、小規模保育事業の入園対象年齢は原則0~2歳です。
この場合、幼児クラス(3歳児クラス以上)になったら、他の園を探さなくてはなりません。
現在、小規模保育園は卒園した後、子どもたちが困らないよう受け入れ先の保育園や幼稚園と提携しているところがほとんどですが、地域や状況により100%希望の受け入れ先に入園できるとは限りません。また、慣れた園を離れることは、ご両親にとってもお子さまにとっても多少なりとも負担になることも考えられます。
就学前まで継続して保育園(幼稚園)にいられるよう、入園前に受け入れ年齢や月齢をしっかり把握しておきましょう。
保育園選びのポイント4:園の方針やカラー
保育園ごとに色々な保育方針が設定されています。
のびのびと遊ぶことを大切にする自由保育や、保育園が設定した課題をこなしていくお勉強保育園など、一言で保育園といってもさまざまな保育方針があります。
教会付属の保育園やミッション系の保育園ではキリスト教に沿った保育になったり、お寺の保育園であれば、仏教に沿った保育を行うなど、宗教色が反映される場合も少なくありません。モンテッソーリの保育園では、そうでない保育園とは異なるカリキュラムを行っています。
長い時間を過ごす場所である保育園の保育方針は、おそらくママパパにとってもお子さまにとっても大切なポイントとなるでしょう。一番大切なのは保育方針になじめるかどうか。お子さまのタイプと保育方針が合わなかった場合は、保育園が苦痛な場所になってしまうケースもあります。
例えば、戸外で自由にのびのびと遊びたいお子さまが、お勉強保育園に入園すると窮屈に感じるかもしれません。また、黙々と机上遊びをするのが好きなお子さまが、のびのび自由保育の園に入園した場合は物足りなく感じるかもしれません。
保育園は、毎日長時間過ごすところです。お子さまが保育園で楽しく過ごすためには、保育方針が合っているかは重要だと言えるでしょう。
保育園選びのポイント5:アレルギー対応
全員の方に当てはまるわけではありませんが、もしもお子さまがアレルギーをお持ちの方は、保育園のアレルギー対応について把握しておく必要があります。
今は、ほとんどの保育園でアレルギー対応(除去食対応など)を実施しているはずですが、アレルギーの度合いよって、保育園の対応も変わってくるでしょう。対応は各保育園ごとに異なるので、安全な食生活を楽しめるよう、しっかりと確認しておきましょう。
保育園選びのポイント6:料金・費用
認可保育園は自治体によって保育料が決められています。保育料は前年度の世帯収入で決定します。なお、幼児教育・保育の無償化により幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳から5歳児クラスのお子さまや、 住民税非課税世帯の0歳から2歳児クラスまでの利用料は無料です。
3歳未満の場合、認可外保育園の保育料は一般的に一律のところが多く、世帯収入は考慮されません。一般的に認可保育園より保育料が高くなる傾向があります。「認証保育園」も認可外保育園のひとつです。
また認可保育園であっても基本の保育料の他に諸費用がかかる可能性はあります。
- 給食費
- 延長保育料
- 体操服代
- 制服代
- 園指定のグッズ代
- 教材費
- 遠足のバス代
など、保育園によって諸費用がかかる場合があるので気になる場合は確認してみましょう。
保育園選びのポイント7:利便性
保育園選びには「利便性」も外せないポイントです。たとえば
- ベビーカーや自転車を預けることができるか
- おむつやタオルなどのレンタルサービスがあるか
など、便利なサービスがあるかを確認しておきましょう。
ベビーカーや自転車を預けることができるか
ベビーカーや自転車で登園した後、そのままお仕事に行けたら楽ですよね。保育園に「ベビーカー・自転車・抱っこ紐などを置いておく場所があるか」「預かってもらえるか」を確認しましょう。預かってもらえるとしたら、雨風は防げるか、セキュリティはどうか、スペースの広さ確認なども同時に行うのがおすすめです。
雨風が防げない場合は、レインカバーなども必要になりますし、スペースが狭いと利用者が多い場合、置くことができない可能性もあります。また、外に置く場合は取り違いや盗難なども心配ですね。防犯用ブザーやチェーンをつけておくなどの対策も必要になるかもしれません。
ベビーカーや自転車を預けられない保育園の場合は、登園後自宅に置きに戻ってからお仕事に向かうことになるので、柔軟に対応してくれる保育園を選ぶのがおすすめです。
おむつやタオル等、お布団のレンタルサービス(サブスク)があるか
最近は、おむつやタオル、エプロンやお布団のレンタルサービス(サブスク)を取り入れている保育園もあります。レンタルサービスだから、毎日持ち帰って捨てたりお洗濯をする必要がありません。月額定額制で利用できるところが多いので明朗会計。必要以上にお金がかかることがなく、安心できるのもポイントですね。
0歳児〜2歳児までの乳児クラスですと、これらの消費量が多く、通園バッグに詰めて毎日持ち帰ったり、お洗濯をして次の日補充するなど、保護者の負担が大きくなります。使用済みのおむつはとても重く、お布団やシーツ、リネン類はかさばるので本当に大変です。また、暑い時期は、濡れたタオルやエプロンをビニールに入れているとカビが発生してしまうことも…。お子さまの手や口を拭くタオルやエプロンは、常に清潔なものを使いたいですよね。
レンタルサービスを取り入れている保育園なら、毎日の負担を減らせる上、衛生面も安心です。
ぜひ、保育園選びのポイントにしてみてはいかがでしょう。
保育園選びのポイント8:習い事やオプションサービス
最近は働く保護者さまのために、習い事の代わりとなるような英語やリトミック、スイミングや体操などのプログラムをオプションで選べる保育園も増えています。最近は、ダンスや絵画、お茶など選択肢も広がっています。
共働きのママパパにとって、送迎の必要があるお子様の習い事はハードルが高いですよね。その点、保育時間内の習い事は親子とも負担が少ないと感じられるのではないでしょうか。また、保育時間を有効に使えるのでおすすめです。
保育園によって、習い事を保育の一貫サービスにしているところ、オプションとして別途費用がかかるところなどさまざまなので、保育園に確認してみましょう。
保育園選びはいつからスタート?
保育園選び(保活)はいつからスタートすればよいでしょうか。新年度(4月)に入園させる場合の具体的なスケジュールをお伝えします。
保育園の選び方のポイントは早めが鍵
新年度(4月)に入園させたい場合、ママが妊娠中であれば前年4月頃からリサーチするのがおすすめです。「1年も前から?」と感じる方もいらっしゃると思いますが、決して早すぎることはありません。多くの自治体は毎年10〜11月が4月入園申請の時期なので、逆算して保活をしていくのが確実です。
*ただし妊婦さんはご自身のお身体を優先し、無理のない見学やリサーチを行ってください。
具体的なスケジュールをお伝えしていきましょう。
妊娠中から出産まで
お住いの自治体の入園申し込み時期や、保育園情報を確認しておきましょう。ホームページに情報が出ているケースが多いです。出産前にある程度の情報をリサーチしておくとよいでしょう。まずは自治体のホームページで保育所一覧を探し、ピックアップしていきます。
入園申し込み書類には、職場に記載してもらうものもあります。早めの確認を。
出産後から9月まで
ピックアップした園に実際に見学を申し込んでみましょう。
10月から12月まで
多くの自治体は、認可保育園の翌年4月入園おいては、毎年10月から11月に保育園児募集を開始します。この時期は希望園を決定し、希望の順位も決めておきましょう。多くの自治体では、第一希望からいくつか記入できるようになっています。
就労証明書や保育園利用の必要性を審査する書類が必要なので、職場に問い合わせて間に合うように入手しましょう。
入園する年の2月~
多くの自治体で、2月中までには保育園に入園できるかどうかの通知が届きます。
お子様の月齢が小さい場合
ご紹介したスケジュールは、4月〜6月生まれのお子様の場合を想定しています。お誕生日が7月以降のお子様場合は1年間のゆとりはありません。少し早めに準備を進めていく必要があります。自治体によっては出産後出ないと保育園の申し込みができないところもあります。事前に確認しておきましょう。
認可保育園と認可外保育園を並行してさがす
保活で大切なのは、認可保育園と認可外保育園を並行して探しておくことです。認可保育園のみ申請した場合、もし審査が通らなかったらお子様の預け先を確保することができない可能性があるからです。
認可外保育園は役所の審査なく入園できるので、認可保育園と並行して探しておくのが安心です。
保育園は必ず見学をしよう
保育園は、申し込み前に必ず見学に行きましょう。
場合によっては、パンフレットやホームページに載っている情報と印象のギャップがあったり、優先順位の低い園が、実際に訪れてみると思いのほか好印象だった、ということもあります。
見学ではここをチェック!
見学に行った時、チェックすべき項目を具体的にお伝えします。
積極的に見学させてくれるか
見学の際、園全体を隅々まで見せてくれるところにしましょう。良い保育をしている園は、積極的に見せてくれるはずです。子どもたちの様子も見ることができるので、あなたのお子様が入園した後の姿も想像しやすいでしょう。
子どもたちがのびのび過ごしているか
見学でみた子どもたちの様子は、あなたのお子様が入園した後の姿です。良い保育園では、子どもたちがのびのびと過ごしている姿を見ることができます。子どもたちがのびのびと遊ぶ姿がみられるのは、保育士との関係が良好で保育園が安心できる場所であると言えるでしょう。
保育士(保育者)が子どもの目線で話しているか
保育士(保育者)が子どもと同じ目線で話しているか、もみておきましょう。しっかり子ども目線になってやりとりができる保育士さんは安心感があると思います。
発達に合ったおもちゃが充実しているか
保育室に子どもの成長や発達に合ったおもちゃが充実しているかみてみましょう。おもちゃがたくさんあっても、子どもの年齢や発達に合ったおもちゃでないと意味がありません。年齢や発達に合ったおもちゃであれば、子どもたちが遊びこむことができ、毎日楽しく保育園に通ってくれるようになるでしょう。
外遊びしているか・園庭の有無や広さ
子どもたちにとって、外遊びは楽しみの一つです。園庭の広さや遊具をみておきましょう。できれば保育園の子どもたちが園庭遊びをしているところが見れるといいですね。
最近は園庭がない保育園も増えています。その場合は近隣の公園や広場などで外遊びするなどの工夫をしてくれているところがほとんどです。毎日外遊びをする園、それ以外の課題を優先する園などさまざまなので、見学の際聞いておくと良いでしょう。
安全対策されているか
- 保育室やトイレのドアに指挟み防止ゴムがついているか?
- ロッカーや家具の角にコーナークッションがついているか?
- 高いところに重いものが置かれていないか?
など、保育室に安全対策がされているかみておきましょう。
保育士(保育者)の人数が足りているか
保育中保育士(保育者)の人数が足りているかみておきましょう。具体的に人数が足りているかわからない場合は、保育士が大変そうではないか?を確認してみましょう。保育士(保育者)が和やかな雰囲気で保育をしていれば、年齢に応じた人数配置がされていると言えるでしょう。
経験豊富な保育士がいるかどうか
多くの子どもを預かる保育園には経験豊富な保育士がいることが望ましいです。特に赤ちゃんから預かっている園は、乳児保育経験が豊富な保育士がいると安心ですね。子育て経験のある保育士も心強い存在なので、赤ちゃんのクラスにいるか聞いてみるのもよいでしょう。
乳児と幼児のスペースが分かれているか
0歳児から就学前まで、幅広い年齢のお子様を預かっている保育園。きょうだいのように異年齢の関わりを持つことができるのが大きなメリットです。
しかし年齢に幅がある分、乳児と幼児のスペースが分かれていた方が安全です。特に、延長保育時間や土曜日保育などは、クラス別ではなく一緒に保育することがあるので聞いておきましょう。
清潔かどうか
保育室はもちろん、トイレや廊下も清潔かどうかみておきましょう。
- 遊んだ後のおもちゃや絵本は定期的に消毒しているか?
- ホコリが溜まっていないか?
- 赤ちゃんの保育室は衛生面に気をつけているか?
など、見学の際チェックしておくのがおすすめです。
災害時の対応について
災害はいつ起きるかわかりません。災害が起きた時の対応も確認
- 園からどのように連絡が来るか
- 非常口の場所
- 避難場所
- 毎月避難訓練を実施しているか
など、しっかり確認しておきましょう。
給食やおやつについて
見学の際は、給食の献立を見せてもらいましょう。おやつは手作りのみを提供するところ、市販品も提供するところ…と園によってちがいがあります。お子様が赤ちゃんであれば、離乳食についても聞いておくとよいでしょう。
保育園と家庭の情報共有
お子様が乳児クラスの場合、多くの園は保護者と連絡帳などで情報共有しています。連絡帳のやりとりを通し、お子様の保育園の様子や家庭の様子を把握します。
年間行事や保護者参加の行事
これは保育園の保護者にとって重要な項目ではないでしょうか?お子様のためにも、できるだけ保育園の年間行事や行事には参加したいと思っていらっしゃる方が多いと思います。
パパやママが無理なく行事に参加できるよう、頻度や曜日を確認しておきましょう。
保育士が語る、意外と知らない園選びのポイント
最後に保育園の選び方について、保育士の視点でお伝えします。
保育士同士の仲の良さをチェック
保育士(保育者)同士の仲が良い園は実はかなりおすすめです。保育士同士の雰囲気の良し悪しは、子どもたちにダイレクトに伝わります。良い保育は良い連携の中で生まれるといっても過言ではありません。
保育士の年齢をチェック
若い保育士から年配の保育士まで、幅広い年齢が働いている園がおすすめです。理由は、どの年代でも働きやすい環境が整っているからです。
特に女性保育士は、結婚や出産でライフスタイルが変化しやすいもの。若い職員だけ、ベテランの年齢層だけ…と偏った園にも良い園はたくさんありますが、できればできるだけ幅広い年齢の保育士が働いている園がよいでしょう。長く働く環境が整っていると予想できます。
園長(施設長)が話しやすいか
園長(施設長)が話しやすい人柄か、も重要なポイントです。担任にはわからない事務関係のことや重要なことは、園長(施設長)に聞くことが多いでしょう。パパやママに寄り添ってくれるような園長(施設長)のいる園がおすすめです。
保育士の表情が明るいか
園のお子様だけでなく、働く保育士の表情にも注目してみましょう。よい園に勤めている保育士は、皆明るい表情をしているものです。暗く辛そう、疲れた表情をしていたら、その園は働きにくく離職率が高い園かもしれません。
園に預けて2週間で、おむつかぶれでおしりが真っ赤に!見学のときに、先生が少ない印象だったので、園の体制をもっとよく調べておけばよかったと後悔。
事前見学のときに、たまたまおむつ交換をしている様子に遭遇。お子さんを寝かせる際に、床に頭が「ごつん!」と音がするくらい雑に横にされていて恐怖を感じました。
入園前にわかってよかったのですが。。
まとめ
後悔しない保育園の選び方や見学のポイントについてお伝えしました。
保育園探しは早め早めが肝心です。保育士視点からのチェック項目も参考にしていただき、よい保育園選びを目指しましょう。
横森さや
認可保育園で13年働いていた保育士。ベビーシッター、家事代行経験もあり。2児の母でワーママとして頑張るライター。
先輩ママに聞いた、保育園選びの失敗談!
復職時期が迫っていたので、無認可のベビールームに預けたところ、普段、家では1回120mlまでしか飲ませたことがないミルクが、1回で200ml飲ませたと記録がありびっくり。理由を聞いても明確な答えがもらえず、不安からすぐに退園しました。