【0歳児:虎の巻】保育の前に確認したい、成長の特徴と安全へのポイント

ポピンズシッター:きょうこ

生まれて間もない0歳児の赤ちゃんは身体の機能や発達もまだまだ未熟。そして1年間で目覚ましい成長を遂げる時期でもあります。0歳児のお預かりの際は、0歳ならではの特徴を知ったうえで保育をすることが大切です。

0歳児の保育:成長段階に応じた注意点

1:【生後すぐ~】睡眠は5分ごとにチェック

0歳児の赤ちゃんは、SIDSの危険性がもっとも高い時期です。

SIDSとは「乳幼児突然死症候群(SuddenInfantDeathSyndrome)」のことで、今まで健康で元気だった赤ちゃんが、睡眠中に突然死してしまう病気です。原因などはまだよくわかっていない病気ですが、特に生後2~6ヶ月ごろの赤ちゃんに多いとされています。

SIDSを防ぐポイント!

  • 仰向けで寝かせる
  • 5分置きに赤ちゃんの呼吸・姿勢・状態を確認

赤ちゃんの睡眠中は必ずこのルールを守りましょう。もしも、お子さまがうつぶせになってしまったらその都度仰向けに戻して差し上げて、呼吸をしているか、顔色は悪くないかなどの睡眠チェックを行います。

参照:厚生労働省「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」

睡眠中の赤ちゃんを事故から守りましょう

2:【生後すぐ~】思いがけない窒息が起こります

0歳児は、窒息事故が多い時期でもあります。低月齢の赤ちゃんはとくに、自分の意思で手や顔を動かすことができません。何かが鼻や口にかかってしまっても自分で取り除いたり動くことができず、窒息してしまう可能性があります。

窒息は思いがけない物で起こります。たとえばシーツや布団カバー・枕・タオルは少し顔にかかって見えるだけでも、呼吸の水分で生地の通気が悪くなり窒息につながってしまうことがあります。ぬいぐるみやおもちゃも呼吸を妨げてしまう可能性があります。また、ミルクの吐き戻しによる窒息も、0歳に多い事故のひとつです。

窒息を防ぐためには、下記の点に注意しましょう。

事故を防ぐポイント!

  • 眠っている赤ちゃんの周りには「物」を置かない
    おもちゃやタオルにも注意
  • ふかふかの布団や枕は顔にかからないよう注意
  • 睡眠中はスタイを外す
  • ベッドとマットのあいだに埋もれてしまわないよう見守る
  • ミルクのあとはできる限り「げっぷ」をしてから寝かせる
    「げっぷ」が出ない場合は、顔を横にして寝かせてて目を離さない

3:【寝返り・4ヶ月ごろ~】ベッドやソファからの転落に注意

0歳児の赤ちゃんに多い事故のひとつに、ベッドやソファからの転落があります。赤ちゃんをベビーベッドに寝かせる時は必ず柵を上げましょう。また、ソファなどに寝かせる場合は、その場を離れてはいけません。

寝返りは一般的に生後4ヶ月ごろから徐々にできるようになると言われています。とはいえ赤ちゃんの成長には個人差があり、早めに寝返りをするお子さまもいれば、ゆっくりのお子さまもいます。

保護者さまからは「寝返りはまだです」とお話しいただいていたとしても、保育中に初めて寝返りができるようになるケースもあり得ます。寝返りはまだかな?一瞬なら大丈夫かな?と思わずに、たとえ短時間であってもベビーベッドは、必ず柵を上げて転落を防ぐようにしましょう。

柵の開閉方法がわからない場合は、あらかじめ保護者さまに確認しておくと安心です。

転落を防ぐポイント!

  • ベビーベッドの柵は必ず閉める
  • ひとりでソファや椅子の上に寝かせない

4:【物がつかめる・5ヶ月ごろ~】誤飲に注意

物がつかめるようになった赤ちゃんで特に注意したいのは「誤飲」による事故です。

生後5ヶ月〜6ヶ月頃からは、手にしたものは何でも口に入れるようになります。赤ちゃんはノドも狭く押し出す力も弱いため、口にしたものがとても詰まりやすいです。赤ちゃんの行動範囲には、誤飲につながる物を置かないようにしましょう。

トイレットペーパーの芯の太さを思い浮かべていただいて、芯よりも小さいものは赤ちゃんの誤飲につながる可能性があるサイズと覚えておきましょう。

5:【おすわり・6ヶ月ごろ~】転倒に注意

一般的に6ヶ月を過ぎると少しずつ腰が座ってきて、座れるようになります。とはいえ、まだ筋肉の発達も弱く、赤ちゃんは頭が重たいのでバランスも崩しがちです。お座りの姿勢を保てず、後ろや横に倒れてしまい後頭部をぶつけてしまう事故が起こることも少なくありません。

お座りができていると思っていても、急に後ろに転倒することがあります。

おすわり時の転倒を防ぐポイント!

  • 腰がしっかり据わるまでは、大人が後ろから支える
  • テーブルなど角がとがったものの近くでは座らせない・もしくは必ず支える
  • 万一の転倒に備え、クッションなどでガードする

つかまり立ちの時期も同じく転倒が起こりやすいので注意が必要です。

6:【ハイハイ・つかまり立ちの時期】転倒・火傷・落下に注意

ハイハイやつかまり立ちができるお子さまは、移動範囲が広がります。大人が思うより速く移動する場合もあります。ストーブ・ポット・炊飯器による火傷や、薬・たばこ・電池などの誤飲、お風呂場での水の事故など危険なシーンが多数あります。

ハイハイ・つかまり立ち時期の事故を防ぐポイント!

  • 赤ちゃんから目を離さない
  • ストーブ・ポット・炊飯器は手が届かない位置に置くか電源を切る
  • 薬・たばこ・電池・ピアスなどが落ちていないか、手の届く場所にないか確認
  • バケツや洗面器に水が溜まっていないか確認・浴室やトイレのドアは閉める
    ※赤ちゃんは数センチの水でも溺れてしまうことがあります
  • 階段や玄関の段差に注意
    ※柵がある場合は必ず閉める
  • テーブルの上に危険な物や熱い物を置かない
  • 赤ちゃんがのびのび動けるよう、なるべくスペースを確保する

0歳の赤ちゃんの発達の特徴や、保育士さんの0歳児の留意点はこちらの記事でご覧いただけます→

0歳ママパパ必見!保育園で保育士が0歳児に教えてくれること

保育中の注意点

おむつ替えや抱っこなど、保育の中でも注意したいポイントがあります。

おむつ替え:股関節脱臼に注意しましょう

赤ちゃんの骨や関節は柔らかく、少しの力でも脱臼を起こしがちです。

とくにおむつ替えの時の「股関節脱臼」には十分注意しましょう。赤ちゃんの足は「M字型」に開いているのが正常な状態です。おむつ替えのときなどに無理に足をまっすぐに伸ばしたり、足を上げる時に無理に上に引っ張りすぎると付け根の脱臼につながることがあります。

股関節脱臼を防ぐポイント!

  • おむつ替え時に無理して脚を引っ張らない(手をお尻の下に当てて優しく持ち上げる)
  • タオルやおくるみはきつく巻かない(常にM字の足になるゆとりを持つ)

おむつ替えのコツ

市販の紙おむつの場合、テープの貼り方で調整します。赤ちゃんにちょうどよいあて方は、止めた時に指が1本入るくらい。きつすぎない位置に止めましょう。緩すぎると上から漏れてしまいます。

おむつ替えやおむつの捨て方について、詳しくはこちらでご確認ください

https://smartsitter.jp/sitter/e_learning/84

寝返りしてしまう赤ちゃんのおむつ替えは、ぬいぐるみをお腹に乗せる、おもちゃを手に持たせるなど、お子さまがあおむけになって楽しめる工夫をしましょう。 「パンツタイプ」のおむつは、自分の肩につかまり立ちで履かせたり、足を入れた後はうつぶせになったタイミングで上げるなど、素早く行うのがコツです。

ミルクや離乳食:残ったものは差し上げません

赤ちゃんのミルクは菌が繁殖しやすいので、全部飲んでいなくても再度作り直します。調乳の前には必ず手を洗いましょう。

調乳・ミルクや離乳食を差し上げる時のポイント!

  • 調乳は正しい手順で、適温に冷まして
    …ミルクの分量や作り方、お湯の場所を確認しましょう。
  • 食事介助の前には必ず手洗い
    お子さまの手洗いも促しましょう。
  • 哺乳瓶や乳首、食器は指定された清潔なものを使用
    …哺乳瓶を消毒する・しないなど、衛生に関する方針はご家庭により異なります。また、使用前の器具の場所も必ず確認しましょう。
  • 飲み残しのミルク・食べ残しの離乳食は与えない

飲んだ後は「げっぷ」を忘れずに

ミルクのあとは必ず「げっぷ」を出すようにしましょう。赤ちゃんの胃は未発達なためミルクを吐き戻すこともあります。赤ちゃんのお背中をとんとんする場合などは、お口のあたりにガーゼハンカチやタオルを置いておくと安心です。

調乳の手順はこちらでご確認ください

https://smartsitter.jp/sitter/e_learning/264

外出時:ベビーカー・抱っこひもは正しく使用

0歳の赤ちゃんとの外出や送迎は、ベビーカーもしくは抱っこ紐での移動が基本です。手での抱っこは危険が伴います。またベビーカーや抱っこ紐は必ず正しく使用しましょう。

ベビーカーの注意点:ベルトを必ず装着

国民生活センター」の調査によると、約3割の人が子どもがベビーカーごと転倒・ベビーカーから落下した経験があると回答しています。

ベビーカーの転倒・転落を防ぐポイント!

  • ベルトは必ず正しく止める
  • 道路の段差などではスピードを緩める
  • ベビーカーの持ち手に荷物を掛けない

参照:国民生活センター

抱っこひもは、すべてのベルトを正しく装着

抱っこひもから赤ちゃんが落下するケースも少なくありません。とくに下向きにかがんだ際の落下事故消費者庁からも注意喚起がされています。

安全ベルトを締め忘れていたり紐の長さが合っていない場合に、赤ちゃんが上や横からずり落ちてしまうことがあります。

また、首や腰の据わらない赤ちゃんを立ったままで、抱っこひもに入れたり赤ちゃんの向きを変えるのは大変危険です。赤ちゃんは自身の身体を支えられないため、片手での作業は難しく、赤ちゃんが落下してしまうこともあります。抱っこひもは安全な場所で付け外しをしましょう。

抱っこ紐による事故を防ぐポイント!

  • 抱っこひもはすべてのベルトを正しく止める
  • ベルトの長さはシッターの身体に合わせて調節をする
  • 抱っこひもをしていても赤ちゃんには手を添える
  • 抱っこひもの装着や赤ちゃんの乗せ下ろしは低い位置(座った状態)で行う

抱っこひもの装着方法はこちらでご覧ください

https://smartsitter.jp/sitter/e_learning/267

手をつないだ時:無理に手を引っ張ってはいけません

手をつないだ時などに、手や腕を引っ張ってしまったり力がかかるような動作をすると、腕や肩を脱臼してしまうことがあります。

引っ張ったつもりはなくても、赤ちゃんの関節や骨は柔らかく未発達のため、力のかかり具合や角度によって思わぬ脱臼が起きやすいと言われています。とくによちよち歩きの時期は、手も短く大人との身長差もあります。赤ちゃんが急に泣き出したりした場合は、痛がる様子はないかをチェックしましょう。

赤ちゃんが泣き止まない

0歳児の赤ちゃんの保育では「泣き止まない」こともめずらしくありません。慌てたり困ったりイライラしてしまうことのないよう、保育のプロとしてゆったりと構えましょう。

泣き止まないときに試してみること

  • ミルクをあげる
  • おむつを替える
  • おむつかぶれがないか
  • 抱っこをする
  • 暑くないか・寒くないか

その他ポピンズシッターのベビーシッターの皆さんからいただいた「泣き止まない時」のアイデア集はこちらです→

泣きやまない時はどうする!?ベビーシッター直伝の対処法【0歳】

歯の生え始めの時期などは、むずがゆかったり痛かったりして赤ちゃんが泣いてしまうこともあるようです。

揺さぶりは絶対にしません

赤ちゃんが泣いてばかりいると、途方に暮れてしまうことがあるかもしれません。そんな場合も、赤ちゃんを強く揺さぶったりすることは絶対にやめましょう。

「揺さぶり」により、「揺さぶられっ子症候群」が起こることがあります。

赤ちゃんは頭が激しく揺さぶられると脳や目の奥に出血が起き、命に関わることがあります。

また「たかいたかい」の遊びで何度も空中に投げるなども「揺さぶられっこ症候群」を引き起こす可能性があるので注意しましょう。

事前に保護者さまに確認したいこと

お子さまの成長度合いなどで保育や注意点が異なる0歳児では、事前の保護者さまへの確認がとても大切です。事前面談や保育前に確認しておきたいことをまとめました。

成長の度合い

  • 首すわり・腰すわり・おすわりの可否など成長段階の確認
  • 抱っこの方法(首の支えがどの程度必要かなど)

睡眠

  • 何時ごろどのくらい眠るか
  • 普段の寝かしつけの方法、眠る場所

おむつ替え

  • 普段の排泄の回数
  • おむつやおしり拭きの場所
  • おむつの捨て方

ミルク・離乳食

  • 差し上げる量・温度・時間間隔・1回あたりにかかる時間
  • 残ったものを捨てるのか残しておくのか
  • 足りない場合の方法
  • 哺乳瓶の取り扱い方法

外出

  • 抱っこ紐やベビーカーの使い方
  • ベビーカーの開閉方法や置き場所
    ※マンションの玄関外(共有部)には、私物を置いてはいけないことがあります。

遊び

  • 好きなおもちゃ
  • 好きな遊び方

0歳の赤ちゃんの成長段階別、遊び方のアイデアはこちらの記事でご覧いただけます→

0歳児の赤ちゃんを安全に保育、シッティングするための注意事項についてお伝えしました。0歳児の赤ちゃんは体が未発達なため、大人がしっかりサポートし安全を確保する必要があります。

保育者は保護者さまに代わって大切な赤ちゃんの命を守る義務があります。多くは気をつければ防げる事故ばかり。注意すべきことを頭に入れ、安全な保育を心がけましょう。

0歳児の特徴は「保育・サービス研修」でご覧いただけます

https://smartsitter.jp/sitter/e_learning/96

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