自治体の「保育ママ」にチャレンジ:子どもに関わる仕事・働き方辞典
横森さや
「保育ママ」という働き方をご存じですか?待機児童の解消、子育て支援の一環として多くの自治体で導入されていますが、いまいちわからないという方が多いのではないでしょうか。
この記事では、保育ママに興味があるけれど、よくわからない…という方向けに、保育ママの目指し方や働いた時のメリットやデメリットについてお伝えします。
保育ママとは?
保育ママは、自宅でお子さまを保育する、いわば「小さな保育園」としての機能を持つ施設です。基本的には3歳未満のお子さまが対象で、1人の保育ママが預かるお子さまは最大3人までですが、複数の保育者であれば5人まで預かることもできます。保育ママは「家庭的保育者」「家庭福祉員」と呼ばれることもあり、2010年の児童福祉法の改定により、保育サービスや子育て支援事業として開始されました。
少人数制かつ自宅ならではのあたたかい雰囲気の下、お子さまと関わることができる点に魅力を感じる方も多いようです。
保育ママとして働くメリット・デメリット
実際に保育ママとして働く、メリットデメリットをまとめました。
保育ママのメリット
家庭的な雰囲気を大切にできる
保育ママは一般的に自宅で保育を行います。家庭的な雰囲気でお子さまは安心して過ごすことができ、あたたかな保育ができることが特徴です。
保育ママがお預かりする3歳児未満の乳児のお子さま、家庭的な雰囲気はメリットいっぱいの環境。保育園では難しい環境を実現できるとも言えます。
きめ細かい保育ができる
保育園は大勢のお子さまとの集団保育を行いますが、保育ママが関わるのは1人〜最大5人のお子さまです。一人ひとりに目が行き届き、きめ細かい保育ができます。乳児保育は、きめ細かい保育を求められるもの。保育ママの保育環境はぴったりと言えます。
理想的な保育の実現
保育ママは、自分の思いを反映させる理想的な保育を実現させることができます。自分の保育感保護者さまにお話しして保育に活かせるという点は、保育施設勤務にはないメリットです。
保育園などの保育施設は多くの職員が働いており、保育感の違いで思うように保育ができないこともありますが、保育ママなら保護者さまとのご相談で保育の方向性を決めていく幅があります。
保護者さまと密にやりとりできる
少人数制なので、保護者さまと密な連絡をとることができるのも保育ママならではのよさです。特に、保育ママは3歳未満のお子さまが相手なので、毎日の保護者とのやりとりは必須です。
丁寧な対応、密な連絡は、保護者が安心してお子様を預けられる条件でもあり、集団保育にはないメリットといえるでしょう。
補助金やサポートがある
保育ママは自治体からの補助金やサポートを受けて運営するため、さまざまな恩恵を受けられます。例えば、お子さま1人に平均7万〜8.5万円の「運営補助金」が支給され、運営・管理費などにあてることができます。
また、自治体によっては開業するにあたり、自宅の改修工事の補助金を出してくれたり、保育ママのスキルアップ目的の研修を提供するなどのサポートもあります。
お子さまの募集は自治体が行うため、集客の面も安心してお仕事に取り組めるのもメリットでしょう。
通勤の煩わしさがない
基本的に、保育ママは自宅で保育を行うため、保育士のように園まで通勤する必要がなくなり、準備の煩わしさもありません。毎日のことなので、通勤がないのはありがたいですよね。
保育ママのデメリット
開業準備に時間や手間がかかる
保育ママになりたい、と思っても、すぐに働けるわけではありません。自治体の認定を受けたり、保育環境整備や人員配置など、開業準備に時間や手間がかかります。すぐに働きたい方には向かないでしょう。
保育の場の確保が必要
保育ママ事業は、自宅の一室を保育施設として確保する必要があります。自治体によってルールに違いはありますが、たとえば「保育室として6畳以上の部屋が必要で、採光や換気、衛生面などの条件」などがあり、これらをクリアする必要があります。結果的に、自宅の模様替えや改修をしなければならないこともあります。
体調不良時の対応が大変
自分ひとり、もしくは保育者の人数が少ないため、体調を崩してしまった時の対応が大変です。多くの保育者が働く保育施設であれば、代わりを探すことができますが、保育ママはそうはいきません。
自治体によっては、連携園に協力を呼びかけ、代わりの保育者に来てもらうことも可能なようですが、多くの場合は、保護者が他の施設に預けるなどの対応になるようです。自分の代わりがいない、と常に意識し体調管理をする必要があるでしょう。
責任感が必要
保育ママ事業は、自治体に認可された保育施設です。何かがきっかけで「やめたい」と思っても、すぐに辞められるわけではありません。保護者さまやお子さまに迷惑をかけないためにも、じっくり考えてから開始しても遅くはないでしょう。
資格は必要?保育ママになるためには
「保育ママになるためには資格は必要?」「どうしたら保育ママになれるの?」の疑問にお答えします。
保育ママの資格
保育ママになるためには、多くの自治体で保育士や幼稚園教諭免許、看護師の資格を求められます。しかし、資格がなくても子育て経験者や研修を受ければ保育ママの認定がもらえる自治体もあります。
まずは、自治体に問い合わせてみましょう。
認定を受ける条件
保育ママ認定についてもやはり、自治体によって条件が異なりますが、例えば以下のような条件が挙げられている自治体が多いようです。
- 育児経験がある25歳〜65歳の方
- 保育士、幼稚園教諭、看護師、助産師、保健師等の資格を持ち、育児経験がある25歳〜65歳の方
- 未就学児がいない方
- 介護や看護が必要な親族がいない方
- 月曜日から土曜日、午前8時〜午後6時まで保育に従事できる方
- 自宅の1階部分に6畳以上の部屋があり、保育室として使える方
- ペットを飼っていない方
まずは自治体に問い合わせ、条件をクリアしているか、していない場合はクリアするための対処法などを確認してみましょう。
保育場所を確保する
保育ママ事業を始めるためには、保育場所の確保をしなければなりません。これは自治体ではなく、事業を始めようとする方が行います。一般的には自宅を保育場所にすることが多いですが、自治体によっては賃貸物件を設定できるところもあります。
戸建てであれば、1階部分に6畳以上の部屋があることが条件のところが多いですが、避難経路が確保できれば2階以上でも認められることがあります。その他、庭や保育場所の近くに公園があることを条件にしている自治体もあるので、確認しておきましょう。
保育仲間をみつける
保育ママ事業は、1人でも始められますが、数名の保育者仲間(家庭的保育補助員)と一緒に運営するよう推進している自治体もあります。1人でもできますが、何かあった時には仲間がいる方が心強いでしょう。
一緒に運営してくれる仲間を見つけておくとよいかもしれません。
保育ママとベビーシッターの違いは?
保育ママとベビーシッター、どちらもお子さまをお預かりするお仕事ですが、一体どういったちがいがあるのでしょうか。
対象年齢
保育ママ:0歳児〜3歳未満児
ベビーシッター:0歳児〜
受け入れ可能人数
保育ママ:保育ママ1人なら最大3人、複数の職員なら最大5人まで
ベビーシッター:基本的には1対1だが、きょうだいなどは2人〜3人まで同時に保育も可能(※ベビーシッター会社やシッターによって異なる)
保育場所
保育ママ:保育者の自宅、及び近隣の賃貸物件(自治体による)、送迎などはなし
ベビーシッター:利用者の自宅や職場など、指定された場所、送迎なども有
保育内容
保育ママ:保育者や提携園の意向に沿った保育を行う
ベビーシッター:利用者の希望に沿ったシッティングを行う
資格
保育ママ:資格はなくても可ですが、育児経験を求められるところが多い。保育士、幼稚園教諭、看護師の資格があれば優遇され大いに発揮できる
ベビーシッター:資格や育児経験は必須ではないが、保育士、幼稚園教諭、看護師、育児の経験が大いに発揮できる
どちらも資格は必須ではありませんが、あればプラスになることはまちがいありません。
有資格者であれば、保護者や利用者からの信頼を得やすく、安心してお子さまを預けていただくことができ、やりがいを持って働くことができます。
スタートのしかた
保育ママ:自治体に認可されて開業することができる。それまでに書類の提出や研修の受講、場所の確保などさまざまな準備が必要。自治体の補助やサポートは受けられるが、個人事業主として働くことになります。
ベビーシッター:保育ママ同様、開業して働くほか、ベビーシッター会社に雇用される、派遣として働く、マッチングサイトを通すなどさまざまなスタイルがあります。
ベビーシッターも検討してみてはいかがでしょう
保育ママの始め方や働き方についてお伝えしました。保育ママは、自分の理想の保育を実現できる可能性があります。少人数制なのでお子様一人ひとりに目が行き届き、丁寧な関わり方ができる点も魅力でしょう。自宅の家庭的な環境の下あたたかい保育が実現できる上、通勤のわずらわしさから開放されるのも嬉しいポイントです。
しかし、自治体の認可や事前準備が必要なため、開業するまで時間がかかる点がデメリットです。誰でも開業できるわけではないので、人によってはハードルが高く感じられるのではないでしょうか。
その点、ベビーシッターは必ずしも開業する必要はなく、「扶養の範囲で」「副業で」など、ご自身で働き方を選ぶことができます。集団保育では実現が難しい少人数保育や、家庭的な雰囲気の下でお子さまと関わることもできます。少人数制であたたかい環境の下お子様と関わりたいと思っている方は、保育ママとあわせてベビーシッターも検討してみてはいかがでしょうか。
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横森さや
認可保育園で13年働いていた保育士。ベビーシッター、家事代行経験もあり。2児の母でワーママとして頑張るライター。