【1歳児:虎の巻】1歳の成長・発達と、保育の前に確認したい安全のポイント

横森さや

1歳児の赤ちゃんは歩き始めたり、離乳食から普通のごはんがだんだん食べられるようになっていくなど、0歳児とは違った発達をする時期です。

同じ1歳児の赤ちゃんでも、生まれ月が異なれば成長の様子も異なりますし、0歳児に比べると発達の個人差も広がってきます。1歳児の保育をする場合は、一人ひとりの成長発達に合わせた対応をすることが大切です。

かわいさもとびきりの1歳のお子さま。安全安心な保育を心がけましょう。

言葉も出始める!1歳児はこんな時期

1歳児ごろから発達には個人差も出てきますが、1歳になるとおおまかに下記のような発達がみられます。

  • 足腰が発達し、つかまり立ちや伝い歩きができるようになり、行動範囲が広がります
  • 椅子や階段に上れるようになります
  • 指先が発達し、小さなものがつまめるようになります
  • 喃語がではじめ、「ママ」「パパ」などの言葉が出てきます
    次第に「二語文」も出てきます
    二語文とは…「ママ きた」「わんわん いた」などの2つの言葉の文です
  • 離乳食が終わり幼児食へと進んでいきます
  • 大人のマネをするようになります

あらゆることに好奇心を持ち、だんだん意思の疎通も見られるかわいらしい時期です。足腰や指先が発達し、できることも増えていく時期です。

保育の際は、できることを見守り応援し、たくさん声をかけてあげましょう。

1歳の発達や遊びについては「保育・サービス研修」でご覧いただけます→

発達・発育はお子さまそれぞれ

0歳の時期と比較すると、少しずつ発達・発育に個人差が出てくる時期でもあります。たっちが早いお子さまもいれば、ゆっくりのお子さまもいます。言葉がでるのも早めのお子さまもいれば、少しのんびりのお子さまも。

保護者さまによっては、お子さまの発達を気にしがちな時期でもあります。早い・遅い・大きい・小さいなど、お子さまについての不用意なコメントは避けましょう。

トイレトレーニング・離乳食は保護者さまに確認

トイレトレーニングや離乳食、スプーンなどの利用については、まずは保護者さまのご意向を伺いご家庭やお子さまの成長に合わせた保育を行いましょう。

寝かしつけはまだまだ大変!

お昼寝や睡眠は、0歳児と同じくまだ上手にできない時期でもあります。こちらの記事で、寝かしつけのコツをご紹介しています。ぜひご覧ください→

子どもが寝ないときどうする?ベビーシッターが教える寝かしつけのコツ

1歳児の保育:発達に応じた安全に配慮しましょう

色々なことができてくるだけに事故なども起こりやすくなります。

1:つかまり立ち・あんよが始まります

多くのお子さまが1歳児前後でつかまり立ちが始まります。つかまり立ちの頃は、まだ足元が完全に安定していないため、とても転倒しやすい時期でもあります。

お子さまは体のバランスが大人と異なり、頭の比重が大きいため立ち上がるだけでもバランスを崩したり、不安定な家具や軽い物につかまってしまって倒れたり、という事故が起こりやすいのが特徴です。

まだ手をついて前に倒れることはできないため、後ろに転倒すれば床に頭を打ってしまい、大怪我につながることもあります。

つかまり立ち・よちよち時期は転倒に注意

  • 足元が不安定で体のバランスも頭が重いため、転びやすい
  • つかまる場所が不安定だと一緒に倒れてしまう
  • 上手に転べないので頭を打ちやすい
  • 立ち上がる時やよろけた際に、テーブルなどの角にぶつかりやすい

1歳児のお子さまの保育の際は、お部屋の中に危ない物や転びやすい場所がないか確認し、立ち上がろうとする時や、つかまり立ち・よちよち歩きをするときにはそばにいていつでも支えてあげられるようにすることが大切です。外出先では決して目を離してはいけません。

2:ドアなどに手を挟む事故が増えます

1歳のお子さまは、はいはい・よちよち歩きなどで移動範囲が広がり、思いがけない事故が起こりやすい時期でもあります。ドアや引き出しに手を挟んでしまい、ケガにつながってしまうことも。赤ちゃんの骨はまだ柔らかく手も小さいため、ひどい時は骨折してしまう場合も。

保育をスタートする前に、ドア・引き出しなど位置のチェックを忘れず行いましょう。

なお、いわゆる戸先側(ドアのノブがある側)と壁の間に手を挟むことばかりに気を取られがちですが、意外と吊元側(ヒンジ側)での事故も多く、吊元側のほうがケガの度合いもひどくなる傾向があります。

また、シッター自身やご家族・ごきょうだいなどがドアを開閉する際にも注意が必要です。お子さまが戸先側や吊元側の近くにないか、十分気をつけて見守りましょう。

指はさみ事故に注意!

  • 保育のスタート前にドア・引き出しの位置をチェック
  • ドアの近くにお子さまが行かないよう見守る
  • ドアの開閉時は十分注意する

3:椅子や階段にのぼれるように

1歳の赤ちゃんは好奇心もいっぱい!とくに高いところは大好きです。しきりに椅子や階段にものぼりたがる年齢で、見つけるとすぐにそちらへ向かっていくことも。しかしまだ頭が大きく、足元がしっかり安定していないため、階段・椅子・踏み台などから転倒・落下しやすい時期でもあります。

1歳児のお子さまは、ハイハイや歩行で移動するのが楽しくて仕方ない時期です。大人が思うより速いスピードで移動もできます。ほんの少し目を離した隙に、椅子の上やテーブルなどの高いところや、階段にのぼってしまうことも珍しくありません。

保育に入る前に、赤ちゃんがのぼれる場所がないか、窓や扉はきちんとしまっているかなど、赤ちゃんの移動に備えた安全チェックをしておくことが大切です。ベビーゲートある場合は保護者さまに使用方法を伺っておくと安心です。また、階段をのぼる際は必ずそばにつき、いつでも支えられるようにしましょう。

外出先ではとくに目を離さないよう留意しましょう。

階段・椅子などからの落下を予防

  • のぼれそうな場所は事前にチェック
  • 階段は必ずそばにつく

4:ベランダなどからの転落に注意

ちょっとした段差を上ったり、引き戸を手で開けることもできるようになってくるのが1歳児。ベランダにつながる窓や玄関の扉はきちんと施錠されているか必ず確認します。お子さまがひとりで外に出たり、ベランダに出ることは絶対に避けましょう。

近年は感染症の影響もあり、換気のために窓を開けている家庭も多いかもしれません。落下の危険性のある窓は閉めてよいか保護者さまと事前にご相談ください。

1歳児さんは好奇心旺盛な上、頭が重く少し覗き込んだだけでも転倒・落下しやすい時期です。十分気をつけ事故を防ぎましょう。

転落事故を防ぐには

  • 窓やドアが施錠されているか注意
  • 換気の窓は保護者さまにも相談しておくと安心

(参考)政府広報オンライン

ご注意ください!窓やベランダからの子どもの転落事故

5:離乳食がすすみます、誤嚥・誤飲に注意!

1歳になると離乳食がすすんできます。まだ気管が細く飲み込む力も弱い1歳児のお子さまの食事介助では

  • 絶対に目を離さないこと
  • 必ず座った状態で食事をすること

を徹底しましょう。食事始めに水分から差し上げるのも誤嚥予防に効果的です。

安全な食事介助についてはこちらをご覧ください→

安全な「食事介助」のために、知っておきたいこと

さらにこの時期は、興味のあるものを口に入れてしまうこともあります。床や手に届くところに物が落ちている場合は片づけておきましょう。小さなお子様の口は直径約4センチ、これより小さいものは誤飲し窒息する可能性があります。

誤飲・誤嚥に注意

  • 食事介助のコツをおさらいし、誤嚥に気を付ける
  • 床や手に届く範囲の小さなものは片づける
  • 離乳食・ミルクの残ったものは差し上げない

6:手の届く位置を確認し、やけどやケガに注意

1歳のお子さまはやけどにも注意が必要です。好奇心旺盛で、まだ危険なものを区別できない年齢なので、興味のあるものにはすぐに手を出します。

「手の届かない場所にあるから大丈夫」と思っていても、つかまり立ちもできるようになりますし、周囲のものにのぼって手を出すことも。テーブルや台の上にある炊飯器・ポットなどの熱い物や、家電などの重い物の落下、刃物などに十分に注意しましょう。

テーブルの上の危険物に注意

  • 火傷・ケガの可能があるものは手の届かないところへ
  • お子さまはキッチンには入らないようにする

ビニール袋などでの窒息事故も

発達に伴い遊び方もバリエーションが出てきます。だからこその事故への配慮も必要なのが1歳児。たとえばビニール袋をかぶって遊んでいるつもりが、自分でビニール袋を取ることができず窒息事故につながることや口に入れてしまうこともあります。

ビニール袋は、工作などにも便利な材料ですが、目を離してしまうと窒息事故を招くこともあります。

まとめ

1歳児のお子さまは自分で移動できるようになり、好奇心が旺盛な年齢です。また、大人の真似をしたがる年齢なので、手に取ったものを使いたがる姿もみられます。

しかし、危険か危険ではないかの分別はつかない年齢なので、大人がしっかり守ってあげる必要があります。

【1歳児編】今日は何して遊ぶ?ベビーシッターに聞いたおうち遊びの基本

この記事は

横森さや

認可保育園で13年働いていた保育士。ベビーシッター、家事代行経験もあり。2児の母でワーママとして頑張るライター。

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