暖房器具の利用に注意しましょう

石山亜由美

寒い時期に欠かせない暖房器具ですが、保育のシーンでは使い方に注意も必要です。思いがけない事故を防ぐために、暖房の使い方をおさらいしておきましょう。

ホットカーペットでお昼寝していたら

ホットカーペットの上でお昼寝していたお子さまが、目覚めると汗びっしょりに。それほど高温になっていると思わず。

加湿器にヒヤリ!

スチーム式の加湿器から熱い蒸気が出ていることに気が付かずびっくり!

ホットカーペット・床暖房・電気毛布は、長時間利用に注意

リビングでお昼寝などする際に、床暖房・ホットカーペット・電気毛布を使用している場合は、体温が上昇しすぎないよう気を付けましょう。赤ちゃんの皮膚は薄く、体温調節機能も発達していません。長時間の利用で低温火傷になったり、発汗によるおもわぬ脱水にも注意が必要です。

寝返り前のお子さまはとくに自分で動くことができないため注意が必要です。

加湿器のスチームに注意

加湿器にはおもに、気化式・超音波式・スチーム式の3つの種類があります。気化式と超音波式の加湿器は、蒸気が出ていても熱くなることはありませんが、スチーム式の加湿器から出る蒸気は熱いので火傷への注意が必要です。

つかまり立ちをするお子さまが、加湿器につかまってしまったり、スチームに顔を近づけることで火傷する恐れがあります。スチーム式加湿器が手の届く場所にある場合は場所を移動しましょう。

機種によってスチームと超音波式のハイブリットタイプなどもあります。見た目ではわかりにくいので、熱い蒸気が出るかどうか保護者さまに確認すると安心です。

なお、炊飯器やホットクックなどの調理器具からでる湯気も火傷の危険があります。キッチンにお子さまがは立ち入らないようにしましょう。

ストーブ・ヒーターは近くに置かない

お子さまが近づかないよう場所を移動するか、使用を控えましょう。暖房機器が他にない場合は、普段はどうされているか保護者さまに確認しましょう。

低温火傷とは?

ホットカーペットや使い捨てカイロ、湯たんぽなどは、心地良い温度のため長時間触れていても問題ないと感じる方も多いかもしれません。

しかし、この気持ちいいと感じる40〜50℃程度の温度でも火傷になる可能性があり、これを「低温火傷」といいます。

熱湯などの高温で起こるやけどとは異なり、低温やけどには次のような特徴があります。

  • 長時間触れていても、熱感や痛みが感じにくい
  • 気づかないうちに、皮膚の奥まで傷がついている
  • 深いやけどになり、治りにくく傷跡が残りやすい

自覚症状がないまま経過するため、気づいた時には皮膚の奥まで損傷し、重症化しているケースもあります。重症化してしまうと長い治療期間が必要になる上に、深い傷跡が残ってしまう可能性もあり、予防が肝心です。

低温やけどを予防するためには、特に以下の2つのポイントが大切です。

  • ホットカーペットやこたつでは寝かせない
  • 湯たんぽは、直接肌に触れないようにする

もし、低温やけどになった場合は、すぐに流水で冷やして病院を受診します。

※水ぶくれがある場合は、潰さずにそのままの状態で受診してください。

赤ちゃんのお肌は火傷しやすい

赤ちゃんの皮膚は大人と比べて薄く、思いのほか深い火傷になりがちです。

湯たんぽやこたつ、電気毛布、ホットカーペットなどの暖房器具は低温やけどの危険もあります。注意して使用することが大切です。

低温やけどをしていても、最初は本人も周りも気づきにくく、軽症に見えたとしても皮膚の深い部分まで傷がついている可能性があります。

冬場の脱水

人の体は、皮膚表面や呼吸によって多くの水分を蒸発させています。夏場は暑いことから脱水にならないよう、水をたくさん飲んだり、お子さまが汗をかいていないか意識を向けていたりするでしょう。

しかし、冬の場合は夏と比べて飲むお水の量は少なくなります。その結果、脱水になりやすいといわれています。

また、脱水は冬に使用する暖房器具でも脱水のリスクがあります。もともと、冬は空気が乾燥し湿度が下がる季節です。さらに、こたつやエアコンなどの暖房器具を使用することで、空気が乾燥します。部屋の湿度が下がると、人の体から蒸発する水分量が増え、さらに脱水のリスクが高まるのです。

さらに、電気毛布やホットカーペットの心地良い温かさで、そのままお昼寝してしまうお子さまもいることでしょう。大人は快適に過ごせるかもしれませんが、新陳代謝が活発で体温調節が未熟なお子さまの場合は、汗をたくさんかいてしまいます。そのままの状態で寝かせていると、脱水症状を起こす可能性もあります。

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石山亜由美

看護師・保健師
Webライターとして働く1児のママ。オンラインで健康相談やメンタルヘルスの相談のお仕事をしながら、医療・健康系の執筆を中心にWebライターとして活動中。